鳥かごの大神官さまと侯爵令嬢 書籍御礼SS

2017年 04月20日 (木) 09:57

ご愛読いただいている皆様、ありがとうございます。
本日、鳥かごの大神官さまと侯爵令嬢の発売日となりました!
取り急ぎ、書籍発売御礼SSを掲載します。
書籍に入りきらなかった部分ですが、こんな感じに色々と詳細な内容になったりしていますので、ご参考にもどうぞ!
時系列は、レイラが大食いと引き換えで力を手に入れた(?)直後に、力を使いすぎて倒れた後のことです。

※※※※※※

 朝の訓練の時間に、レイラが再び体調をくずした。
 近くにいたシンシアは、それを見て慌てた。自分と競り合ったせいだと思ったからだ。

 レイラが競り合おうとしてきていたのは感じていた。シンシアとしても負けるわけにはいかない事情があるので、必死でその上を行こうとした。
 勝つことに集中しているうちに周囲がざわつき、レイラがうずくまっていたことに気づいたのだ。

 レイラは神官に付き添われて部屋へと戻って行った。
 シンシアは罪悪感にうつむき加減で、それを見送るしかない。
 ただ疑問もある。聖霊術を使うだけであんな風になってしまうものだろうか、と。

 神官達も、元から具合が悪いのではないのかとささやき合っていた。
 元からということなら……自分のせいだろうか。考えると、シンシアはますます身を縮めたくなった。

 レイラとルウェイン王子の婚約が内定していたことを知ったのは、王子に婚約を承諾した後のことだった。婚約を無かったことにされてしまった上、内定していたことをほぼすべての人が知っていたと後から聞いて驚いた。
 レイラは心労で体調をくずしたに違いない。
 ただシンシアにも、聖女にならなければならない理由があった。

「養子のことが知られなければ……」

 王家が、シンシアは伯爵家の養子だということを知ってしまったのだ。あまり王宮へ伺候しない離れた土地の貴族だということで、密かにシンシアの身上調査を行ったらしい。
そして伯爵家に以前勤めていた者からの情報で、養子のことを知ってしまったようだ。

 シンシアのオルブライト伯爵家と確執がある家の出身である王妃が、そこを問題にしてシンシアとの婚約を取りやめさせようとした。
悩んだ国王が、折り合いをつけるために提案したのが、シンシアが聖女になれば不問とする、という条件だった。
 王妃の方は、三年間の聖女の任期の間に婚約を覆すつもりなのだろう。国王の提案にうなずいたらしい。

 シンシアはなんとしても聖女になるしかない。そうして聖女として名声を上げて、婚約者の座から離れまいとするつもりだったのだけど。
 まさかレイラが聖女を目指すとは思わなかったのだ。

 その理由はすぐにわかった。先日倒れて運ばれて行くレイラを呆然と見送っていたら、聖女候補の令嬢が教えてくれた。
 レイラが聖女に立候補したのは、シンシアのせいで婚約が任期が終わってからも神殿に身をうずめるにあたって、侯爵家の令嬢として後ろ指をさされにくい状況を得るためなのだということも。

 レイラの状況を考えると、胸が痛む。でもどうすることもできない。
 どうしても譲れない、譲るわけにはいかないから……。

 聖霊術の練習が終わり、シンシアはとぼとぼと部屋への道を歩く。
 レイラに同情的な他の令嬢達と、会話を楽しむことはできない。避けられてしまうから。それすらも耐えなければならないことだと、シンシアはよくわかっていたけど。

「ああ、シンシア殿」

 神官がシンシアを見つけて歩み寄って来た。

「あなたを訪ねていらっしゃっています」

 場所と相手の名前を聞いたシンシアは、少し心が浮き立つ。
 急いで王宮とつながる通路がある場所へ行けば、織の美しい上着を着た、黒髪に赤い瞳の青年が待っていた。
 強い風に靡く青のマントが、すらりとした姿を引き立てている。

「殿下」

 呼びかけると、ルウェイン王子はシンシアを振り返って微笑んでくれる。

「元気そうで良かった、シンシア」

 手を差し出されて、シンシアは自然にその手を掴んだ。
 視察をしていた時に出会ったルウェイン王子は、シンシアの聖霊術について信頼してくれる上、婚約者としてとても大切に扱ってくれる。
 そんな彼のならば、もしかして信じて頼ってもいいだろうか。いや、無理だ。話せない。
 心の中で思い悩むシンシアが、暗い表情になってしまったからだろう。

「神殿の生活で何かあったのか?」
「い、いいえ! 何もございません!」

 シンシアは慌てて首を横に振り、微笑んで見せたのだった。

コメント

一姫さん

わわ!ご購入ありがとうございます!!
書籍はソフトヤンデレでしたね|ω・) 
書いていくと、どうしても飼い主とワンコ……餌付け……リードが必要……と連想していったらあんなことに。
装飾品は最たるものですね♪
バッチコイと言っていただけて嬉しいです!
娘さんまで読んで下さったのですね!ありがとうございます!(土下座)
番外編もそろそろ終わらせます♪
他の作品も楽しみにしていただけて嬉しいです!頑張って書いていきたいと思います!
重ねて御礼申し上げます。
奏多  [ 2017/05/28 22:05 ]
先日やっと入手できました。

大神官様ソフトにヤンデレ入ってませんか!?
なろうとは違った展開なのでそれはそれでщ(゜ロ゜щ) カモ-ンщ(゜ロ゜щ) でした。
娘も読んだのですが、同じところで笑ってしまいました「装飾品」のところです。
後は、比べてこのキャラは本が良いとかなろうがいいとか感想を言い合って楽しめました。
どちらにしても良いハッピーエンドだったので嬉しかったです。

番外編の続きも他の作品も楽しみにしております。
一姫  [ 2017/05/25 10:22 ]
コメントの書き込みはログインが必要です。