伊福部昭先生を想う

2016年 11月12日 (土) 19:55

 そういえば、伊福部昭先生が亡くなられて、今年はちょうど十年目ですね。
 シン・ゴジラで伊福部昭先生が作曲されたゴジラの音楽が使われたという話を聞いて、伊福部先生のことを、今さらながらに懐かしく思い出しています。
 紳士でした。
 超然とした方でした。
 飄々とした方でした。
 学長室を訪ねると、いつも大きな机の向こう側に背筋を伸ばして座っておられました。
 年輪をきざんだお顔と、すらりとしたスマートな体躯と、トレードマークの蝶ネクタイは、今も忘れられません。
 「今度、こいう演奏会を開かせていただきます」と、できたてのチラシをおみせすると、にこにこと笑いながら、金一封を包んでくださいました。
 付き合いのよいかたでした。
 忘年会などにお誘いすると、可能なかぎり参加してくださいました。
 興が乗ると、手振りを添えて「お富さん」を歌われるのですが、「みっこしのま〜つに」の部分で、ひょいと手のひらを目の上にかざすしぐさが、なぜか目に焼き付いています。
 そういえば、春日八郎さんも、東洋音楽大学(のち東京音楽大学)のご出身でしたね。
 「和太鼓と吹奏楽のためのブーレスク風ロンド」にしても、「シンフォニア・タプカーラ」にしても、原始時代を彷彿させる野生とエネルギーに満ちた曲ですが、そんな楽曲群と、伊福部先生のおだやかな笑顔は、ひどく異質といえば異質だし、逆によく似合っているといえば似合っているようにも思われます。
 在学中の私は、大著『管弦楽法』に接し、いくつかの業績にふれながらも、伊福部先生が偉大な作曲家だということはあまり意識していませんでした。
 それより何より、伊福部先生は、温かな庇護者でした。
 あの先生が学長室に座っておられると思うだけで、東京音楽大学は、私にとり懐かしい場所であり、慕わしい母校でありえたのです。
 ああ、伊福部先生。
 ありがとうございました。
 安らかにお休みください。

コメント

尊敬出来るヒトが在るほどに人生が豊かになるのですね。
良き出会いを得るためにも明日の日も良く生きよう。ゲダン!Get Down!
ななまんえん  [ 2016/11/12 23:31 ]
なんだかさらっと支援BIS氏の凄い背景が垣間見えてそっちで驚きですw
作品を生み出した感性はそこで磨かれたのですねぇ。
春都  [ 2016/11/12 21:00 ]
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