ファンタジー世界の山賊の不思議
2012年03月02日 (金) 05:53
ふと思いついたので、徒然と述べてみる。

異世界転移物に多いやられ役として馬車を襲う山賊って凄く多い訳で、そういう場面に主人公が居合わせてその山賊を殺しちゃったりするわけですけど、考えてみると「それってどうなのよ?」って思った訳です。

大抵殺しちゃっても「山賊とかは死罪だから気に病む事はない」なんて居合わせた人間が主人公に言っちゃったりしますが、いくらファンタジー世界でもそれはないよなぁと思ったり。

まず、例え古代でも盗み程度で済ませていれば腕を切られると言う事はあっても(まぁ医療技術が未熟な時代で腕切られたら死ぬかもですが)、死罪ではないわけです。

そして、ファンタジー小説の一番の問題は警察司法等の公権力でもない主人公、もしくは一般人が勝手に相手を殺すという手段で裁いている事です。

目には目を方式で、山賊盗賊が全員人殺しの集団だとしたら、公権力でもない一般人でも殺して良いのでしょうか?

そんな事がまかり通るなら、気に入らない奴を殺して「そいつは山賊だから殺しました」と言った物勝ちになります。

警察司法という公権力だけが人を裁けるようにしているのは、そう言った無法にしないためです。公権力が人を裁くのは犯人が犯人である事をその時代なりに立証するからです。公権力でもない人間が勝手に人を裁いて、何処に正当性があるのでしょう? そんな事をしたら冤罪だらけで結局、力あるものだけが幅をきかす無法地帯と変わりません。

まぁギルドによって指名手配されている山賊というならまだギリギリOKかも知れませんが、そもそも山賊の全員をどうやって把握しているのでしょう?そもそも割と簡単に山賊討伐の依頼なんかがあるわけですが、その審査はどうなっているのでしょう?

変な言いかたすれば、人間に対する討伐依頼って、殺人依頼ですよね? たまに子供が親の敵を討つためになけなしのお小遣いで依頼するも報酬が少なすぎて誰も依頼を受けてくれず、それを主人公がこなすなんて話もありますけど、ガキの戯言で殺人依頼が通る世界ってどうなんでしょう?

まぁ審査は実は公権力でしっかりとした審査の後に指名手配されているとしても、依頼を受けたのちに大抵首領一人の首だけ検分して他は「其処に居た」と言うだけで一味扱いされて適当に殺されちゃっていたりします。もしかしたらその中には助けるべき人だって居るかも知れないし、逆に助けた人が攫われた人になりすました一味かも知れないのです。主人公達って本当にもの凄くあっさり人殺しますよね。

その他にもお話によっては指名手配されている事すらも確認せず、たまたま居合わせてサクッと殺しちゃってあとから指名手配だったから安心よ!と言ったり。

何処ぞの軍隊が要人暗殺の為に身なりを山賊風にして襲ってくるなんて話も良くありますが、この場合は確実に「指名手配は無い」わけですよ。

まぁ襲ってくるのですから正当防衛で良いじゃないかという考えもありなのですが「死人に口なし」状態で本当に殺された人間が襲ってきたのかは第三者には全く解らないわけです。

ぶっちゃけて言えば、気に入らない奴を山道に呼出して、そいつを殺し、適当に自分を自傷させれば「襲ってきたから殺した」で通じる世界と言っているようなものです。

捕縛ならまだ良いです。後で事情聴取できますから。でも公権力でもない人間がいきなり「殺し」とかただの証拠隠滅以外にないでしょう。

まぁRPGな敵キャラには「山賊」とかはモンスターと同じでぶっ殺す対象でしかないので、感覚がそれで染まってしまっているのでしょうけど、なんかちゃうんじゃないかなぁと思ったり。

「ファンタジー=一般人も人を殺して良い世界」って思っている人多すぎるんじゃないかなぁと……

中世だって一般人が人殺して良いのは戦争の時ぐらいです。じゃないと法律という物が在って無いのと同じになっちゃいます。
コメント全1件
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Rion
2013年04月24日 01:08
非常に今更ですが書き込ませて下さい。

中世とはいっても1000年ほど続いているので実は時代によって違う。と、言いたい所ですが、基本的に中世での一般人は山賊相手に勝てません。なぜなら戦える程の戦士階級はほぼ貴族だからです。
そして、キリスト教が席巻している時代では異教徒は殺しても大した問題になりません(だからこそ異端審問などがあったわけですが)。そして、この時代の宗教にも腐敗は当然あります。
つまり、貴族側が被害にあわない限り問題にはなりません。そして、山賊に襲われるのは大抵行商と巡礼中の修道士です(つまりほぼ個人。隊商は一般的ではないか、全く居なかった)。
なんだかんだ言って、友好国以外は基本的に勝手にさらって奴隷にして売り付けていた時代ですし、仮に一般人が嫌いな人間を山賊だと偽り殺した所でその土地の領主の胸先三寸でしょう。
裁判も有るにはありますが、あの時代だと神判といって神に無実の誓いを立てます。そして、白熱した鉄を握って痕が付かなければ無実。もしくは決闘裁判で勝てれば無実。そんな感じです。

まぁファンタジー関係の小説における考証はしてない人間のほうが多いので矛盾が一杯デスヨネ。
某ライトノベルの悪人に人権は無い、が行き過ぎた結果かも、です。