「悪役令嬢後宮物語」キャラクター設定①
2016年02月14日 (日) 16:31

『悪役令嬢後宮物語』一年目終了時のメインキャラクター設定&作者所感です。
 一年目を全編読了なさったことを前提に、ガンガンばっちりネタバレしておりますので、未読の方はくれぐれもご注意を。
 キャラによっては設定より作者所感が長かったりしますが、まぁそこはご愛嬌で。要らない方は流してください。
 キャラクターの並びに関連性はありません。関連性を持たせようと考えた結果、最初の四人で挫折しました。主人公以下は全力で適当です。
 ではでは、大事なことなので二回言いますが、本編未読の方は読んでからお進みください! むしろ本音言って良いかな、読んでない人はブラウザバックだ、今すぐに。
「本編読んだよ、設定知りたい!」な読者様。お待たせいたしました、お進みくださいませ。

















(名前)ディアナ・クレスター
年齢:17歳
目の色:海の蒼色
髪の毛:黄金の癖毛
身長:160㎝台半ば
肌色:白色
体型:ボンキュッボン
その他外見特徴:自らの快楽のためならばどんな悪辣な手段にも平気で手を染める美女、に見えるタイプの悪人顔
基本情報:クレスター伯爵令嬢、後宮側室筆頭『紅薔薇』、社交界での二つ名は『咲き誇る氷炎の薔薇姫』
特技:動植物の薬効探し
性格:超ウルトラお人好し。基本的に自分のことより他人のことで悩んでいる。
 自己犠牲の権化みたいに言われることが多いけれど、自分のことがどうでも良いわけではなく、家族や周囲から大切に育てられたがゆえに、自分も自然と他者を思いやるようになった純粋培養型お人好し。貴族社会における評判に頓着しないのは、犠牲精神ではなくクレスターの習性。
 十五歳で社交デビューするまで貴族社会とは縁遠かったので、令嬢モードの方が猫。三年目にしてようやく板に付いてきたけれど、気を抜くと剥がれる。本人も自覚しているので、練習の意味を兼ねて普段は『わたくし』で通しているが、家族(特に兄)の前で感情が高ぶると『私』に戻る。後宮では、己を『ディー』と呼ぶシェイラとカイの前では完全に令嬢モードが解けている。
 幼い頃から言い聞かされてきた貴族の義務と、本人のハイパーお人好しな気質が合わさった結果、特に民への思い入れがどえらいことになっている。もともと子どもの頃から町に出かけるのが好き、領民たちと関わって遊ぶのが大好き、あちこちの職人に半分弟子入りしていろいろ教わったりもしていたので、本人的には馴染み深い方に感情移入しているだけ。しかし周囲からは、ただの義務感と責任感の塊としか思ってもらえない。
 他人のことばかり気にかける善良さからあまり目立ちはしないけれど、基本的にこうと決めたら突っ走るし、欲しいものへの妥協を知らない欲張りなところもある。ついでに言えば、甘やかされた末っ子的ワガママな側面も強い。
 そして、諦めは悪い。べらぼうに悪い。特に『命を守る』ことへの執念は異常の域。死にさえしなければ何とかなると、割と本気で思っている。
 お人好し気質を除いたときに残るのは、『賢者』の末裔らしい、未知なる世界への憧れと探究心。知らない場所や物事に出くわしたとき、戸惑うより先に「それなに?」が飛び出す。人見知り、物怖じという言葉は、彼女の辞書には存在しない。新たな世界には直接触れて確かめ、人と関わりながら疑問を解消したいタイプなので、自分で身動きできない馬車の旅は全力で苦痛だった。ちなみにクレスター家における彼女の視察予定は、そういった道草気質を踏まえて組まれている。
 本質的な部分で人間が好きなので、自分に好意を持ってくれた人のことは素直に好きになるし、嫌われたら「まぁ仕方ないかな」とそっと距離を取る。『好き』の幅が本人も把握できないほど広いため、一周回って特別な好意――恋愛感情に疎い。

作者所感)自由気ままに動いてこっちの言うことなんて聞きやしない涼風ファミリーの中で数少ない、「で、これからどうするの?」と聞いてくれる優等生キャラクター。作者の意向を尋ねるだけでなく、暴走しがちな他のキャラクターを抑えて「ホラ、作者はこうしたいらしいから」と調整役すら担ってくれる、まさに委員長タイプ。正直ディアナが主人公してなかったら、私はもっと手こずっていた。
 最初書き出したときは結構スレてるキャラかと思ってたけど、それは顔だけで判断して話を聞いてくれない貴族社会に拗ねてただけで、本質的には人間の良心を固めてブレない子だって分かってからは、かなり打ち解けて書けるようになりました。ここぞというときに思考放棄して暴走するのも可愛らしい。
 彼女の未熟な部分や考えの浅さに批判的な声も頂きましたが、まだ17歳の育ち盛りなので、人間的に深くなるのはこれからだと思っています。ぶっちゃけついこの間までワガママ甘受されて、好き勝手に生きてきた節もありますしね。
 ディアナに困らされたことって思い返せば本当になくて、逆に私が大変なとき、いつも助けてもらっていました。某ヒロインがどんだけ暴走しても、ディアナが通常営業だから何とかなった(笑)
 一年目の終わりにして、ようやく恋心をほんのり自覚してくれたっぽいので、二年目からはもうちょい恋愛方面でも動いてくれたら嬉しいですね。まぁディアナが動かなくても、周囲が勝手に動くだろうから大丈夫か。
 とにかく私にとっては、本当に本当に可愛い主人公であり、その他のアクしかないようなキャラクターたちをまとめてこの物語を支えてくれる、大切な相棒です。


(名前)シェイラ・カレルド
年齢:16歳
目の色:春空の青色
髪の毛:月光の金髪、直毛
身長:160㎝台前半、ディアナより少し低い
肌色:白色
体型:細身(胸は寂しいとかイワナイヨ!)
その他外見特徴:たおやかで折れそうな儚さがある
基本情報:カレルド男爵令嬢(前男爵の実子、現男爵の姪にして養女)、後宮下位側室
特技:暗算
性格:精神的にかなりタフ。特に大切な人のために腹を括ったときの強さは異常。
 叔父夫婦に虐げられた約十ヶ月間に自己評価が地の底まで落ちて、売られるようにやってきた後宮でも最下層の扱いでますます自信を無くし、自身には価値がないと思い込んでいる。そのため自分のことではあまり怒らないけれど、理不尽の苦しみをよく知っている分、大切に思う人が酷く扱われることに対しては烈火の如く怒る。
 外見的に文系に見られがちだけど、実は超理系な思考回路の持ち主。本人は感情的に納得できないと思っていることも、よくよく紐解けば「理論的にその考えは破綻している」という結論に落ち着くことがままある。ディアナの外見から内実を判断しなかったのも、「顔は悪そうだけど話してみると別にそんなこともなかった。直接話して酷い扱いを受けなかった以上、彼女が悪人と判断できる根拠はない」という可愛げの欠片もない論理展開に基づいた結果。
 自分を平凡な一般人だと位置づけているが、精神的なタフさといい、覚悟を決めたときの躊躇いのなさといい、感情に流されない論理的思考といい、間違いなく平凡からはほど遠い。自覚はしていないけれど、精神的に脆い部分があるディアナより、性格的には正妃に向いている。
 自信がないために、誰かから好かれることに対して引きがち。逆に、自分から好きになることに関してはブレーキが存在しない。『ディー』だけは互いに好意を伝え合いながら関係を深めていったので、彼女からの好意は素直に受け取れるし、好きを伝えるのにも躊躇いがない。『紅薔薇様』への好意は一方通行の幸せな片思いだったが、その両者が同一人物だと判明した今、全力の『好き』をぶつけられる唯一の存在と化した。
 恋愛感情に関して消極的なのも、別段ジュークへの気持ちがディーへの好意に負けているわけではなく、単に「こんなに好きでいてもらう価値が自分にあるのか」と躊躇ってしまうから。その躊躇いが大きかったために、なかなか彼への恋心を認めることができなかった。

作者所感)当物語における、最大の問題児。恋愛ヒロインが百合に走るなんて、完全に想定の範囲外でした。
 私は小説を書く際、基本的にキャラクターたちの動くままを追いかけて形にしていきます。想定外のことが起こっても、余程のことがない限りは「これがこの子たちの選んだ道なんだな」と受け入れて訂正はしないのですが、唯一私に大幅な修正を入れさせたのがシェイラだった。園遊会の部分を書いているとき、彼女にありのまま動いてもらっていたら、この子お相手の陛下を見切りやがったんですよ。「この人キライ、もう知らない」って。
 書いている最中はキャラクターを降ろしているので、なかなか客観視が難しくて。書き上げて、しばらく経ってから改めて該当の部分を読み返して、冗談抜きに血の気が引きました。いやいやシェイラ、君がジュークを見捨てたら、この話成り立たないんだよ!
 我に返って遡り、シェイラがジュークを見捨てないように細心の注意を払って書き直し、アルにも出張ってもらってようやく何とかなったワケですが。既に書き上げた話を半分以上書き直したあの事件を、私はおそらく一生忘れない。血の気が引いた瞬間を、今でもありありと思い出せるよ。
 正直シェイラに関しては、書き始めた段階でキャラ設定とかまったくと言ってよいほどしてなくて。物語のコンセプトが『シンデレラストーリーを傍観する悪役ポジ』だったので、いかにも不憫な境遇の少女くらいしか考えていませんでした。昔、大人しい清楚系のヒロインを書こうとして挫折したので、テンプレシンデレラヒロインとか大丈夫かな、ちゃんと動いてくれるかなと心配すらしていたのですが。
 結論から言えば、杞憂というか余計な心配だったというか、むしろ暴走を全力で抑え込む羽目になるとは思いませんでしたね。非常にするする動いてくれるけれど、暴走しすぎて話の本筋ぶち壊すこと数え切れず。ディアナにはもうちょい恋愛方面で鈍くいて欲しかったけど、シェイラが余計なこと言うもんだから自覚が早まったし。シェイラ視点書きながら、何度降りてきた彼女と喧嘩したことでしょう。もうちっとジュークのことも考えてやれよ。
 ガチ百合リクエストを頂いて、「面白そうだけど受け入れてもらえるかなぁ」と思いつつ書いて、あまりの違和感のなさに「あれコレIFやんな?」と混乱し。混乱のまま投稿すれば、感想欄にて「違和感は夏休み」「違和感さんは旅に出ました」と読者様の素晴らしいコメントの数々。私あの日、旅行中だったんですけどね。何気なく感想欄確認して、旅館で真面目に携帯落としました。
 私の中で永遠の問題作となり果てた例のIFですが、あれを書いたからシェイラが分かったとも言えます。もちろん本編のシェイラがディーに抱いているのは恋愛感情ではありませんが、躊躇いのない全力の『好き』であることは間違いないと。好きの感情に素直で、好きな人のためならどんな困難にも立ち向かえる強い子、それがシェイラだと自分の中で落ちてからは、彼女を書くのに戸惑うことはなくなりました。その分暴走を抑えるのに苦労するようになったけどね!
 当初ぼんやり考えていたのとは全然違う、書けば書くほど意外なびっくり箱ヒロインですが、シェイラがシェイラだったからこそ、この話はここまで転がったのだと思います。ディアナが調整役なら、シェイラはさながら私を引っ張る牽引頭かな。
 二年目からも、そのパワフルさで私をぐいぐい引っ張ってください。できれば暴走する前に、「今から走るよ」の一言くれたら嬉しいけど(笑)


(名前)ジューク・ド・レイル・エルグランド
年齢:22歳
目の色:アイスブルー
髪の毛:銀髪直毛
身長:175〜180㎝
肌色:白色
体型:すらっとしたモデル体型
その他外見特徴:全体的に色が薄く、精悍な雰囲気
基本情報:エルグランド王国国王、王太子時代の二つ名は『冬の貴公子』
特技:文章暗記
性格:素直。良い意味でも悪い意味でも、とにかく素直。
 傀儡王が欲しかった過激保守派の陰謀によって、考える能力を徹底的に奪われてはいたが、幸いにも先人たちの遺した教材が優秀で、その教材に書かれた内容を素直に受け取って学んだため、本人は無意識だが王としての基本姿勢に問題はない。正義感も強く、必要なら自分を育てた保守派に反対することもあるため、実のところ陰謀はあまり成功していなかったりする。
 クレスター家を悪の総本山、ディアナを総本山から来た悪女と思い込んでいたために、初期のディアナへの態度や対応は最低のさらに下をいく酷いものだったが、一度思い込みを取っ払えば素直にディアナの本質を受け入れて、過去の己を反省できる。己の過失に対してすらも素直なので、過ちを認めず意地を張って事態を拗れさせるような厄介さとはあまり縁がない。園遊会前にディアナとぶつかったときの癇癪は、むしろ珍しい部類に入る。
 考える能力を奪うため、そして逆らうことがないようにと、ほぼ精神的虐待に近い扱いを受けながら大きくなったが、それすらも余計なプライドを排除して相手をひとまず受け入れる姿勢へと繋げることができた。全力で歪んでもおかしくなかったところ、その素直さ一つで全て乗り切り真っ当に育った、実はとんでもない人物。もちろん本人の資質だけでなく、ぎりぎりのところで支えとなっていた両親や伯父の尽力も大きい。
 上から抑えつけられていたため考える習慣がなかっただけで、そもそも頭の出来は優秀であるため、考えることさえ覚えれば恐ろしい勢いで化ける。シェイラが理系ならジュークは文系思考の持ち主で、文脈や記録から要点を抜き出し理解するのがべらぼうに上手い。そこに一度立ち止まって考える行程を加えれば、もともとあった王の資質に加え、かなりの賢君になれる可能性を秘めている。
 恋愛方面に関しても、やはり素直。自分の気持ちを誤魔化すというありがちな過程をすっ飛ばすので、かなり分かり易いし躊躇いもない。シェイラに対しては押したり引いたりしたけれど、計算ではなく成り行きに任せた結果である。
 素直さ一つで全部乗り切ってきたような男ではあるけれど、さすがに成人男性であり王族なので、必要に応じて本音と建前を使い分けることもできるし、貴族たちをある程度欺けるくらいの演技力もある。誰に教えられた訳でもないけれど、自分を育てた過激保守派の面々の態度を見ながら、持ち前の素直さで無意識のうちに覚えた。

作者所感)当物語における問題児その2。恋愛主人公組が揃って問題児とか、ジャンルに喧嘩売っとんのか。
 このお話が一年で畳めなくなった最大の原因は派閥争いとかいう余計な要素が加わったからだけど、次点でジュークの成長が挙げられる。深く考えずに動くまま話を書き進めて、シェイラが牡丹派にイジメられている辺りまで書いて、「そういやこの話、王様がちゃんと成長してくれないと詰むんだけど大丈夫かな」って見返して、あまりの無理ゲー状態に膝から崩れ落ちそうになりましたからね。誰だジュークをあんなバカ殿にしたの。
 思わずジュークが成長するのに必要な気付きや要素を書き出して、どうすればそれをクリアできるか、脳内で緊急会議でした。結果、当初は影も形もなかった園遊会が開かれることになって、なのに園遊会の直前でまた揉めて、もう本気で冷や汗かいた。癇癪起こしたジュークを叱りつけたアルフォードが、あの瞬間神に見えたよ。
 書籍の方はともかく、Webでのジューク視点は最後の山場まで書かないと決めていたので、割と最後の最後まで掴めない子ではありました。アルフォードと仲良くなってからは、彼を通じてかなり見えて、書きやすくはなりましたが。
 いざジューク視点で過去の振り返りから書き出したときは、こんなに直截に、こんなに潔く自省できる子だったのかと驚きましたね。思っていたよりずっとずっと、ジュークは全てに対して素直だった。これほどに素直だから、傀儡の糸の中でも己を見失うことなく生きて来られたのかと納得できて、やっとジュークと分かり合えたように思います。
 ひやひやハラハラの連続でしたが、どうにかクレスター家の真実に辿り着くことができて、デュアリスさんにも認めてもらえて、エルグランド国王としてはようやっとスタートラインに立てた彼です。潜在能力は高いので、二年目からは王としても主人公サイドの中心人物としても、活躍の場を増やしてくれることでしょう。
 成長過程でさんざんこっちの肝を冷やしてくれた分、恋愛サイドに関してはある意味でいちばんの功労者でもあります。シェイラと無事に両想いにもなれたことだし、百合疑惑を吹き飛ばすべく、引き続きよろしく。


(名前)カイ
年齢:18歳
目の色:宵闇の紫紺色
髪の毛:古木色の直毛
身長:170㎝台前半(成長期なのでまだ伸びる)
肌色:白色
体型:細く見えるが筋肉質
その他外見特徴:世が世なら外見だけで食べていけるほどの美少年
基本情報:フリーの裏稼業従事者、通り名は『仔獅子』
特技:持久戦
性格:一点集中こだわり型。大体のことは大ざっぱに流す中で、コレと定めた物事に対してだけは異様なこだわりを見せる。逆に言えば、執着するもの以外のことはわりかしどうでも良い。
 縁もゆかりもない自分を拾って育ててくれた父親のことは絶対で、尊敬も信頼も最上級。年頃ゆえ素直に態度に出すことはあまりないが、その父親が倒れて金が必要になった際、後先考えずにクレスター家に喧嘩売る程度には絶対。ディアナと仲良くなった後クレスター家に助けを求めなかったのも、頑固云々より単に父が絶対すぎて、クレスター家に救援を求めるという発想がなかっただけ。そういう意味で、柔軟性にはやや欠ける。こうと決めたら折れない、曲がらない。まさに鋼の意志の持ち主。
 困難な現実を前にしたとき、遠回りして目的地に向かうとか、搦め手でくぐり抜けるとかより、力付くで困難をぶっ飛ばす方を選ぶ。別に頭が悪いから力付くに走る訳ではなく、むしろ困難をぶっ飛ばすためなら知恵を使うことを惜しみはしないのだけれど、思考が逃げる方に向かない。
 必要に迫られて日常生活に必要な技能はだいたい覚えたが、根本的な部分で適当かつ大ざっぱなので、うっかりすると今でも料理の際、調味料を間違える。父に食べさせる前提で作らせれば何とかなるが、自分一人の食事は本気で適当。必要な栄養が取れて食えたらそれで良いじゃん状態。ディアナの服をリフォームしたり、シェイラを乗せた馬車を走らせたりしていた際、実は結構気を遣っていた。父に散々言われているので、いちおう自分の感性が一般に比べてかなりざっくりしているらしいことは分かっている。
 ディアナのことは恋愛的な意味で好きだとちゃんと自覚して、ディアナの立場や身分差から『いちばん近くで生涯守る』だけで満足すべきだと思っていたのに、何故かデュアリスに認められて頭が痛い昨今。初めての感情に振り回されつつも、『全て守る』と決めたことは揺らがない。ディアナの心を守るため、ディアナが大切にしているものも物理的に守っているだけで、本質的にはディアナ以外どうでも良い。
 守る対象ができることで目的がはっきりして迷いが消え、躊躇うことなく己の力を発揮するタイプなので、「恋を知ることで死角をなくす」はまさに言い得て妙。

作者所感)最初から主人公の相手になることは決まっていて、登場こそ遅かったけれどかなり初期からディアナさんを見守っていたのに、あまりにさらっとした登場シーンだったせいで涼風友人から「チョイ役臭しかしない」という名言を頂いた可哀想な子。書籍版では敏腕編集者様のご助言によってかなり加筆したので、チョイ役臭は薄れたと信じてる!
 何とかディアナとくっつけるべく、存在感を高めるべく徐々にカイの出番を増やせば、「後宮にこんなのがいるなんておかしい」「空気壊す」って怒られるし。「作者さんお気に入りのキャラクターだから推したいのは分かりますが」とまで言われたこともあったなぁ。いや、ディアナに意識してもらわないと困るから、要所要所で出してただけなんですけどね。
 とはいえ、カイは涼風ファミリーの中ではそこそこの古株で、昔々に構想だけ練ったお話に出てくるキャラクターがベースになっているので、お気に入りかどうかはともかく確かに気心はいちばん知れてます。最初からだいたい分かっていたので書きやすいし、実際誰視点であってもカイを書いていて迷ったり止まったりしたことはありません。どの視点で書いていても、「あぁ今コイツこんな風に考えてるな」って大まかには分かる。作中に一人そういうのがいると助かりはしました。
 あんまりカイが叩かれるので、コイツをこのままディアナのヒーローにして大丈夫かとハラハラしておりましたが、予定していたカイ視点の種明かしを境に好意的なご意見が増えて、今では男性キャラクターの中で圧倒的な人気を誇るまでになりました。しかし、それはそれでジュークが食われた感が否めない……。
 基本好き勝手動く奴だけど、シェイラと違って本筋ぶち壊す方向に暴走はしないし、暴走したいときは長年の間合いであらかじめ申告してくれるので、貴重なストーリーの潤滑材になってくれています。


(名前)リタ
年齢:19歳
目の色:茶色
髪の毛:金茶色の直毛
身長:155〜160㎝
肌色:白色
体型:すらっとした痩せ型
その他外見特徴:クール系美人
基本情報:ディアナの私的侍女
特技:的当て
性格:基本的には冷静沈着。ただし、ディアナの危機には我を忘れて感情的になる。本人もそれではいけないと思っているけれど、あまりにディアナが大切すぎて、なかなか感情をセーブするのは難しい。
 相手を信頼するのにかなりの時間を要するけれど、一度信頼した相手のことは絶対に裏切らないし、仮に裏切られても恨むことなく慕い続ける、かなり健気な一面もある。ディアナの侍女をしているために目立たないけれど、実は良くも悪くも適当な人間関係が築きにくいタイプ。
 幼少時、ものすごい偶然が重なって引き取られたクレスター家が、主一家も使用人たちもハイスペック超人集団で、そんな彼らの役に立つ人間になるためにとできる努力は惜しまなかった。生涯唯一の主と定めたディアナを守るために武術を磨き、ディアナの趣味に付き合って動植物について勉強し、興味の幅が広いディアナに頼られたときに何でも答えられるようにと勉強。もちろん侍女としての研鑽も積んだ結果、広く深く何でもこなせる超有能人へと成長した、ものすごい努力家。意識せずに努力できるという点で、希有な感性の持ち主である。

作者所感)問題児というか、話が進んでいく中でどんどんこっちが知らない過去を明かしてきた、想定外キャラクターその1。はっきり言って最初は、『ディアナに絶対忠実な侍女であり、友人であり姉』くらいの設定しかなかったよ。アルとの恋愛とか、話進む中でマジで勝手に知らされた。最初に二人が揉めてるシーン書きながら、書いてるこっちが「うえええぇ!?」って驚いてました。
 キャラの性格って多少作者との関係性にも影響あるらしくて、リタはおそらく話が始まった段階では、私のことあんまり信用してなかったんでしょうね。まぁ正しいよ、最初はホントに見切り発車の、めんどくなったら止めれば良いや状態で始まったからな!
 なろう様に投稿して、なんか予想を超えた反響を頂いて筆が乗って、「これはちょっと真面目に書かないといけないぞ」と気持ちが改まったくらいから、不思議なことにリタが心を許していろいろ見せてくれるようになりました。自分を託しても大丈夫だと、そう思ってくれたのかもしれません。キャラクターに信頼されるという感覚を教えてくれたのが、振り返ればリタだった気がします。
 私に、誠実に物語に向き合うことで見えてくるものがあると教えてくれた、大切な先生。そういう意味で、思い入れはとても深いです。
 

(名前)エドワード・クレスター
年齢:22歳
目の色:翡翠色
髪の毛:栗色の緩い癖っ毛
身長:175㎝くらい
肌色:白色
体型:脱いだらすごい細マッチョ、ただし服の上からは分からない
その他外見特徴:女性を誘惑してさんざん弄んだ挙げ句にあっさり捨てるような雰囲気の悪人顔
基本情報:現クレスター伯爵嫡男、社交界での二つ名は『甘い香りで淑女を誘惑する美しき毒花』
特技:武術全般
性格:竹を割ったような性格かと思いきや、本当に欲しいもの、望むものを誰にも見せない捻くれた一面も隠し持つ。思考回路は概ね豪快で剛胆、ざっくりしているが、『賢者』の血筋らしく分からないことはそれがどんな細かいことでも納得いくまで追究する、神経質な面も。要は、分かり易いようで分かり難く、おおざっぱなようで細かい、二面性色が濃い性格。余談だが、知識欲は『賢者』の血筋に共通しているが、それがどういう方向性になるかは個人の性格にも関わっており、ディアナのようにとにかく未知の世界にダイブするタイプ、エドワードのように細部追究型と様々である。
 恋愛方面では、目下のところいちばんのリア充。嫉妬心は人一倍。一緒にいるときに鎌ってもらえないと、たちまち拗ねる。クリスが自分に相談もなしに後宮近衛の団長職を引き受けたと知ったときは、妹を案じてくれる婚約者が嬉しいやら、これから先なかなか逢えない場所に行ってしまうことへの不満やら、妹と婚約者をかっさらっていったジュークを衝動的に殴りたくなるやらで、実は結構大変だった。
 他人や物事への好悪感情を細かくカテゴリ分けして整理するのが得意なので、究極の選択的シーンでもあまり悩まない。「それはそれ、これはこれ」とさっくり分けて考えている。その辺は非常に明快。ディアナと違って自分の『悪人顔』を活かした社交諜報にも抵抗はない。
 武術に関する才能は天賦。基本頭脳特化のクレスター一族で、これほどの才に恵まれるのは非常に珍しい。貴族として、『クレスター』を継ぐものとして生まれたがゆえに武術や諜報術ばかりを学ぶことはできなかったが、そちらを中心に仕込まれていたらカイと並び立つ存在になれたほどのポテンシャルの持ち主。というか今でも、シリウスの直弟子の中で戦闘能力だけならいちばん出来が良い。

作者所感)こちらが何も考えなくても、サクサク勝手に動いて話を進めてくれる、とてつもなくありがたいお兄ちゃん。今やすっかり、困ったときのエドワード状態。
 エドワードに関しても、初期は『ディアナの兄ちゃんでホスト系悪人面』くらいのことしか考えていなかったのですが、コイツは性格上あっさりしてるので、最初からそれほど警戒はされませんでしたね。変なトコ捻くれてるけど、基本的には殴って解決したがるただの脳筋だと思ってる。王家との『絆』にずっと憧れてた、っていうのも書いてる最中は分からなかったけど、後から第三者の目で読み返したら「なんだただのツンデレじゃん」で終わった。
 以前「いちばん好きなキャラは?」という質問を頂いたときは、散々悩んでエドを挙げました。好き嫌いで言ったら、私は自分の生んだ子みんな親目線で愛してますからね。そこからさらに一人、ってのは難しいのですが、敢えて選べと言われたらエドだなぁと。だって勝手に動いてくれるから私が悩むことないし、脳筋だから追いかけてて楽しいし、だからって単純一辺倒ってわけでもない。友人になったら刺激を受けられるタイプだろうなと思います。
 恋愛シーンでは勝手に爆ぜてろとしか思わんけどな! エドの甘えを受け止めるクリスさんマジ天使!
 恋人として成立しているという意味でいちばんのリア充な彼ですが、あの二人の目標はあくまでもちゃんと夫婦になることなので、おそらく二年目以降、また一波乱二波乱あるんだろうなと予想してます。広げたらキリがないから触れてませんが、ぶっちゃけエドとクリスが出逢って恋人同士になるまでって、それだけで一本の連載になるくらい波乱の連続だったんですよ……? 問題は、クレスター家の嫁取りはいつの時代も波乱含みで、奴らの感覚が麻痺してるって点だ。
 何はともあれ、二年目からもその脳筋っぷりで、皆の清涼剤になってね。


(名前)デュアリス・クレスター
年齢:40台後半から50台前半
目の色:翡翠色
髪の毛:栗色の直毛
身長:170㎝台半ば(僅差でエドの方が高い)
肌色:白色
体型:中肉中背
その他外見特徴:冷酷非道極悪魔王な悪人面
基本情報:現クレスター伯爵、監察局資料保管室室長
特技:ボードゲーム(しかし、あまり好きではない)
性格:好奇心とイタズラ心が旺盛な、お茶目な美中年。密かな趣味は恋愛小説を読むこと。
 ディアナの気質はどちらかといえば彼寄りで、実は非常に深い情の持ち主でもある。今でこそここぞという場面では情を切り捨てた冷酷な判断ができるが、若い頃はしょっちゅうダダを捏ねて先代に叱られていた。オース王とは無二の親友であり、その親友の忘れ形見であるジュークを、本心ではとても愛情深く見守っている。しかし天の邪鬼な一面があるために、それを表に出すことができていない。
 頭脳の明晰さは一族の誰もが認めるところであり、その頭脳と知識を活かした知略は歴代随一と言われている。ディアナは分かっていなかったが、貴族議会の流れは九割方、彼が組み立てたとおりに動いていた。その気になれば人の心すらも操れるが、生来の情の深さゆえにしようとしない。
 父親が妹を溺愛しすぎたせいで、最終的に往生際悪く婿イビりに走った一部始終を見届けていたので、反面教師的にディアナが選んだ男には鷹揚であろうと心掛けた結果、逆にカイから戸惑われている。

作者所感)存在自体が伏線な、ネタバレ王。しかも基本的にオープンだからタチが悪い。
 読者様の中には「デュアリス視点ってあんまりないなぁ」と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、このオッサンに喋らせたら、物語の構成上まだ黙ってなきゃいけないことまでポロッポロネタバレしてくるから、もうマジ黙れ状態なんですよね。さらにふざけんなポイントを追加するなら、私が知ってることだけならまだしも、知らないことまで投下して来やがる。この辺でデュアリス視点入れようかな→ネタバレの嵐→それ聞いてないよ構成考え直すからちょっと待て! をどれだけ繰り返したことか……。
 いや、信頼していろいろ教えてくれるのはありがたいんですよ? ありがたいけど、頼むから風呂敷の広げ方を考えさせて欲しい。無責任にあっちこっち広げて畳めなくなるのはマズいでしょう。
 結果、一年目でデュアリス視点を出すことはほとんどできませんでした。キースと資料室で会話したときくらいですかね? 書籍ではもうちょっと出せたけども。シリウス視点で会話しているときですら、気を抜くと私の知らない話を始めやがるんだよこのオッサンは。シェイラが本筋ブレイカーなら、デュアリスは構成ブレイカーか。基本的に親切なんで、頭良い人にありがちな「そんなことも分かんないの?」な上から目線がないのは助かりますが。書いてて分からなくなったら説明してくれるからね、デュアリスさんは。
 まだまだデュアリスしか知らないこと、見えてないことが山とあるはずなんで、二年目からも凡庸な私の構成をぶっ壊してくれると思いますが。それもまた話を深くしてくれると思うので、挫けずケンカすることにします。


(名前)エリザベス・クレスター
年齢:40台
目の色:海の蒼色
髪の毛:黄金の癖毛
身長:150㎝台前半
肌色:白色
体型:折れそうに華奢
その他外見特徴:たおやかで折れそうなのに、どこか華やかな雰囲気がある美女
基本情報:現クレスター伯爵夫人
特技:話術
性格:お淑やかで控えめな賢夫人の皮を被った、あらゆる意味でアクティブなお方。狙った獲物は逃さない、凄腕の狩人。ディアナの、新しい世界に物怖じしないどころか楽しむ余裕のある強心臓は、間違いなく彼女譲り。
 男に庇護欲を抱かせるか弱げな風情とは裏腹に、その外見をちゃっかり利用して相手の懐にするりと入り込み、得意の話術で情報を根こそぎ搾り取っていく。はっきり言って悪女の素質はディアナより遥かに上。そうして社交界で確固たる地位を築き、社交が苦手な夫を陰から支える肝っ玉母さん。何だかんだでデュアリスとは良い夫婦。
 基本的に楽天家なので自分自身の未来を案じて悩むことはあまりないが、悪女顔に生んでしまったウルトラお人好しな娘の未来については、切実に心配している。どうやら相愛っぽい男が現れたと聞いて、さてどうやって見定めてやろうかと画策している真っ最中。

作者所感)にこにこ笑って全てを煙に巻く、侮れない人ナンバーワン。絶対何か抱えてると思ったらホラ、案の定。重たすぎるよエリザベスさんや。彼女の事情の片鱗を教えてくれたのがクレスターでなく敵側だったことに、根の深さを感じますね。
 正直エリザベスさんはまだ私に心を許してくれなくて、見せてくれるのってほんの一部なんです。上の性格の部分を纏めるだけで、デュアリスさんの二倍かかった。そういうトコ、ほんと正反対の夫婦だなぁ。ある意味釣り合いは取れてるのかね。
 ただ、にこにこ笑顔で計算高く、腹に一物抱えた人間ってテンプレで言えば『腹黒』なんでしょうけれど、私はあまりエリザベスさんから黒さを感じたことがありません。基本的には夫を立てて支え、子どもたちを愛情を込めて見守り怒るときはちょっぴり怖い、普通の奥さんでありお母さんなんじゃないかなと思っています。貴族社会の一員で社交というお仕事があるゆえに、計算高い面が発揮されやすいというだけで。
 エリザベスさんの過去が一部明らかになって、主人公世代の少し前の闇がうっすら見えて、二年目からはそこに踏み込んでいくことになりそうですが。エリザベスさんの言葉が必要になってくる場面も出てくると思うので、引き続き信用してもらえるよう努力して参ります。


(名前)アルフォード・スウォン
年齢:26歳
目の色:濃い緑色
髪の毛:赤茶色、固い髪質
身長:180〜185㎝
肌色:白色(少し日焼け気味)
体型:長身がっしり型
その他外見特徴:大柄で逞しい、いかにも頼れるお兄さん風情の好青年
基本情報:現スウォン伯爵次男、国王近衛騎士団団長
特技:剣技
性格:何だかんだで面倒見の良い、お兄ちゃん気質。その結果当然の流れとして、苦労性。
 年の離れた超優秀な兄がおり、生まれたときから跡継ぎにならないことは確定済みだったので、『古の一族』の使命に縛られ過ぎることなくのびのびやりたいことに打ち込めた。スウォンもまた、どちらかといえば頭脳特化の一族なので、剣士としての素養に恵まれた彼は異分子の類に入るが、跡継ぎの重圧が最初からなかったために特に気にすることなく騎士の道を選択。生来の気質の良さから騎士学院でも打ち解けて、上からは可愛がられ下からは慕われる、誰からも好かれる典型的学園モノ主人公のような青春を過ごす。
 今でこそ『歴史研究の大家』と呼ばれるスウォンだが、古代語の『詩』が示すとおり、その始まりは歴史伝承を『詩』にして繋いでいく吟遊詩人一族。スウォンの家に生まれた子どもたちは一族だけに伝わる詩を教え込まれて大きくなるため、本編中の描写は一切無かったが、歌が超絶に上手い。実はかなりの美声でもある。
 幼い頃から好きなことを誰に止められることもなくできて、騎士を目指して入った学院でも大きな挫折や軋轢を知らずに過ごした。エドワードと出会ったことで戦闘の才能的な意味で凹みはしたものの、基本前向きな思考の持ち主のため嫉妬で歪むことなく素直に受け入れ、エドワードの信頼を勝ち取ると同時に暇があれば模擬戦をして己の実力を伸ばすという一石二鳥を成し遂げる。その実力は折り紙付きとなり、在学中に王宮騎士団にスカウトされ、そのまま入団。要は、大きな困難や社会の理不尽を経験することなくトントン拍子に人生を歩んできた、苦労知らずのお坊ちゃまだった。
 リタとのアレコレも、本人にはリタを弄んだつもりは一切なく本気で一緒になるつもりでいたが、そのために乗り越えなければならないものの大きさや、自らが背負うものについて軽く考えていた結果の悲劇。苦労知らずに育った分、当時のアルフォードは考えの浅いところもあった。リタとの別離を経験したことで心を改め、立場の違う相手のこともできるだけ理解できるように務めるようになって、人間的に成長。その姿勢を評価され、ジューク即位の際に国王近衛騎士団の団長に大抜擢される。

作者所感)話を進める中で勝手に動いて、こっちが知らないことをどんどんぶっ込んで来た、想定外キャラクターその2。リタと合わせて想定外カップルと呼んで良いかな。
 最初は王の後ろでなんかびくびくしてるキャラだなぁくらいにしか思ってなかったのに、場末の酒場でいきなりエドと酒飲んでて「はぁ?」となりました。え、何お前エドの友だちだったの? つーか、クレスターの真実に最初から精通しているくらいの重要キャラなの? 剣の実力はかなりのものなの? と書きながらハテナの嵐。誓って言いますが、アルに関してはエドと酒を飲み出すまで、全然知りませんでした。
 アルはリタと違ってオープンなので、私を警戒して自分を小出しにするということがなく、最初からフルスロットルでいろいろ教えてくれましたね。むしろいきなりどさどさ出されて混乱したよ。それまでは一話五千字以内で収まってたのに、酒場のシーンは知らないことがどんどん出てくるもんだから、気がついたら一万字近くなってましたからねー……ま、今ではその一万字も軽く越す暴挙をやらかしておりますが。
 アルも基本は好きに動く子ですが、ディアナと同じく私の意向もそれなりに汲んでくれるので、特に園遊会ではめちゃお世話になりました。ジュークへのお説教といい、暴走ヒロインの説得といい、あそこのアルフォードには功労賞をいくつ捧げても足りない。考えてみれば恋愛主人公組はアルに救われてる面かなりあるなぁ。ジュークはしっかり拝んどくように。
 二十歳までの人生をイージーモードで進んできた分、『金を積んでもするべき若い頃の苦労シリーズ』が今になって降りかかってきた彼ですが、まぁアルだから大丈夫だろと勝手に思っています。


(名前)クリステル・グレイシー
年齢:20歳
目の色:茶色
髪の毛:赤金色の緩い癖毛
身長:150〜155㎝
肌色:白色
体型:小柄
その他外見特徴:第一印象は完璧に、ちんまい小動物系のかわいこちゃん
基本情報:現グレイシー男爵の妹、非公式ながらエドワードの婚約者、後宮近衛騎士団団長
特技:剣技(得物はレイピア)
性格:非常に稀な、空気の読めるガンガン行こうぜ系。特に他者の心の機微に対し、神懸かった鋭さを発揮する。それを汲んだ上で積極的に攻めてくるスタイルなので、彼女に対峙された相手はクリスの強引さに苦笑しながらも憎めず、いつの間にか仲良くなっているパターン。ただし、女性に貞淑さを求める貴族社会では、なかなかその長所が活かせる場面がないため、貴族の社交には苦手意識がある。
 武術の才に非常に恵まれており、その敏捷な動きを活かした短期決着型戦闘に持ち込むことができれば、体格や力の差を越えてアルフォードとすら互角に戦える。彼女にそういった戦闘スタイルを教え込んだのはエドであり、恋人としてと同じくらい、武術の師としても信頼している。
 幼い頃から剣と共に育ち、女の子より男の子と遊ぶ場面の方が多かったため、素でいるときの一人称は『ボク』。ただし大きくなって貴族らしい振る舞いが求められるようになってからは、そういう場面ではきちんと猫を被って擬態する。子どもの頃は好きに過ごせたのに、大きくなって立場ができると窮屈になったという点で、ディアナと意気投合している。
 クレスター家の顔の罠に関してはエドワードで慣れたので、冷酷悪女系なディアナがウルトラお人好しなチョロすぎる女の子でも特に問題なく受け入れ、「これから社交に出るのに、この天真爛漫さはちょっと問題じゃない?」とエドワードに忠告したほど。己の剣技に素直に感服して懐いてくる少女が可愛くないわけもなく、将来の義妹として全力で愛でている。

作者所感)エドに婚約者がいるのは最初から申告されていて、ディアナと仲良しなのも知っていましたが、「舞台が後宮じゃあなー。特に出番ないよなぁ」と放置してたら、まさかの騎士枠で登場。考えてみりゃ、あのエドが生涯の伴侶に選んだ女性が、大人しくじっと出番を待ってるような人物であるわけがなかった……。
 見た目小柄で小動物な可愛い系ですが、それで剣技はアルフォードと張れるとか、どんだけハイスペックなんだクリスさんよ。性格も快活で大らかな、まさに頼れるお姉さま。ディアナはマジで身内に恵まれてますね。
 クリスさんは私の脳内で騒ぐことはあんまりないのですが、いざ書き出したら隠し事なくするっと動いてくれるので、非常に助かっています。エドとのデート書いたときは、あまりの甘さに悶絶したけどね! 君たちはもうちょいあっさりしたお付き合いだと、お母さん勝手に思ってたよ! だがしかし、基本的に甘えてデロデロだったのはエドだから、クリスさんに文句は言わない。
 エドの所感でも述べましたが、あくまでも結婚が最大の目標なお二方なので、二年目からはちょいちょい二人の事情も入ってくると思われます。


(名前)シリウス
年齢:デュアリスと同じ
目の色:榛色
髪の毛:茶色の直毛
身長:175〜180㎝
肌色:白色
体型:均整の取れたがっしり型
その他外見特徴:よく見れば美形だけど、ぱっと見は平凡に見える
基本情報:クレスター伯爵家直属隠密集団『闇』当代首領
特技:隠密術全般
性格:親切で面倒見の良い、頼れるお父さんタイプ。デュアリスがどっしり構えて動じない父親ではなかったため、安定感を醸し出す大黒柱的ポジションでクレスター一家に関わり続けた結果、エドとディアナ兄妹の第二の父みたいな存在になっている。コレで良いのかとたまに思うが、当の一家が一切気にしていないので、考えるだけムダだと割り切った。クレスター家と付き合うなら、世間一般の常識とはおさらばしなければやっていられないと、経験則から達観している。
 完全に頭脳特化のデュアリスは、その分武術系に関しては弱く、基本的な武器の扱いと自衛の手段が身についている程度。その主を補佐するため、隠密術の中でも戦闘は特に力を入れて学んだ。その結果、先代の首領から「お前はデュアリス様と同い年だし、忠誠心も武術の才も申し分ないし、何よりお前とデュアリス様見てたら笑えるから、次の首領になれ」とバトンタッチされる。ちなみに『闇』の首領は血筋で受け継ぐものではなく、それぞれの首領が次世代を育て、だいたい当主交代の頃くらいに育った中から指名する引き継ぎ制。シリウスはたまたま先祖代々『闇』をやっている家の出身だったが、そんな人間はむしろ珍しい。彼の次代についてはシリウスより指名される側が悩んでいて、その理由は言わずもがな、「だって俺らの中でいちばん強いのってエド様だし」である。『仔獅子』がクレスター側に参入すると聞いて、「なら次の首領仔獅子に頼もうぜ!」と一時期希望に満ちたものの、その理由がディアナに惚れ込んだからと知って消沈中。そんな次代組を苦笑混じりに優しく見守る、まさにクレスターの父。懐の広さでは、他の追随を許さない。
 職人タイプで己の仕事に誇りを持ち、極めるところまで極めたいと思っているので、双璧と語られる『黒獅子』のことはちょっと意識している。元気になったら手合わせ願いたいと思いつつ、まだ回復しておらず息子とも離れ離れな今、そういうことを言うのは無神経だろうかと機会を窺う気遣いの人。
 クレスター一族がなんやかんやと感情に振り回されがちなので、意識して穏やかでいるよう心掛けているが、そこまで感情が希薄なわけではない。クレスター大人組は怒らせたらみんな怖いが、ガチでキレたときにいちばん手が着けられなくなるのは彼である。

作者所感)かなり初期から登場しているのに、改めて設定をまとめるまで、そういや髪の色と目の色考えてなかったお方。デュアリスが冷酷魔王的美中年なら、シリウスさんは平凡系美形です。ぱっと見は普通だけど、よくよく見たらめっちゃ綺麗な人っていますよね。あんな感じ。体つきもがっしりはしてるんだけど、全体のバランスが絶妙だから、初見ではがっちりよりすらっとの方が印象に残るんですよ。というか、隠密職の常として目立つのはよろしくないから、意識して平凡を装っている節はあると思います。
 シリウスさんは気遣いの人で、特に難しいシーンでは考え考え話すから、彼視点は割と時間がかかります。ディアナが牢に放り込まれたときは、まさか本編より長い大人側事情説明になるとは思わなかった。ディアナにもデュアリスにも気を遣って、しかもあの部分は非常に際どいネタバレがいくつも含まれていたから読者様のことも考慮した話運びをしないといけなくて、かなりの重圧だったと思いますがやりきってくださいました。主と子どもたちを大切にしているからこそ寡黙で、言葉選びも慎重なんだって分かるから、どれだけ時間がかかってもシリウスに付き合うのは苦になりません。ぶっちゃけ、デュアリスがそういうこと気にせずにぺらぺら喋るせいでシリウスが割を食ってる感あるし。文句言って良いと思うよ。
 シリウスさんも苦労性っちゃ苦労性なんだけど、ご本人が達観して気にしていないせいで、あんまり可哀想だとは思わないなぁ。少なくとも、現状に頭抱えて胃が痛くなるようなことはないんじゃないかと。カイもそうですけど隠密職の人って、一般とは違う常識の中で生きているせいか、いざとなったら力押しでぶち壊せば何とかなるやと思っている節がある気がします。


 あれ、おかしいな……? まだ半分くらいしか進んでないのに、既に二万字近いってどういうことなの。
 本気で字数やばそうなんで、キャラクター資料を二つに分けます。次は主に後宮編!
コメント全4件
コメントの書き込みはログインが必要です。
k2k2
2016年07月20日 22:54
車好き?特に日産車w
青空
2016年02月15日 13:51
涼風さん、大丈夫ですよ。
ヒロインとその親友が百合っぽくなるのは必然です!シェイラさんのディアナさんに素直に好意を表すところ、大好きですよ!
鈴宮 風花
2016年02月14日 22:53
作者様、ご安心下さい。 
ユーザー登録していなかった頃に始めて読んだ作品がこの悪役令嬢後宮物語でした。
その時に、突如現れた異色の存在感を放つカイに私は一目惚れをしました。カイ視点で更に落ちましたがはじめから大好きでしたよ!
綾熊
2016年02月14日 21:45
すみません、まだ半分も読んでないんですがひとつだけ聞かせてください。
ジュークの二つ名「冬の貴公子」って何ですか!?

初の恋愛にあたふたしているところしか知らないので「き、貴公子。しかも冬ですか!」とビックリ。
私の中ではヘタレキャラでした。なんかボーゼン。王子さまと言うだけで、やっぱり凛々しくてカッコイイお方…みたいな認識が出来てしまうのでしょうか?