2014年04月01日 (火) 19:10
まずは沢山の方々に読んで戴けたこと、そのおかげをもちまして完結までたどり着けましたこと、重ねて厚く御礼申し上げます。
たまにはそれらしいこと……と言いますか、『シャルパンティエの雑貨屋さん』を書いていた間のことを思い出しながら、作品を振り返ってみたいと思います。
きっかけは昨年6月頃、アリアンローズレーベルの公式サイトにある作品公募のURLを目にしたことです。
久しぶりに公募というのも楽しみがあっていいなと、ちょっと乗り気になりました。
まず目を惹いたのは、非常に珍しい応募規定です。
ここまで話の内容を最初から絞り込むのは、かなり珍しいことだと思いました。必須文字数や締め切り日と違って、油断のならない規定でもあります。
とりあえず、お題を見ながらあれこれ考えてみれば……。
「異世界」
素直に中世風ファンタジー世界を選択。魔法があれば、少なくとも地球上のお話じゃなくなるから大丈夫そう。ドラゴンあり。魔導具完備。よし、規定クリア!
「働く女の子」
もちろん、ヒロイン。女の『子』……子供過ぎると働かせにくいので除外。変に捻らず、大人の女性にしよう。よし、主人公完成!
「女性向け」
女性主人公の一人称で、心理描写多めに。苦手でもやるしかない。お相手は内も外も完璧な若いイケメン……よりは、自分好みのおじさん一歩手前の不良中年予備軍の方が思い入れ出せるな。よし、書く前にたくさん少女漫画と少女小説読んで乙女モードにちぇんじ!
これで骨子が出来ました。
落語で言うところの三題噺、今回はお題が「働く女性が主人公」「異世界」「女性向け」というわけですね。
じゃあそのまま書いてしまえと、メモ帳に記した極初期のプロットが以下のものです。
仮題「お仕事物」
雑貨屋 店番
一人立ち
兄が営業権を手に入れてくるが、少し遠い田舎町
兄は跡継ぎ、じゃあわたし行く!嫁に出す方がまし!で、すったもんだ
店舗無しからのスタート
田舎の領地
冬ごもり
なんとかなった
応募規定とFAQを眺めながら考えたのが丸わかりです。
でも、逆に規定から外れていないとも言えるので、一安心でもあります。
しかし、同じお題でも書き手が違えば話も変わるわけで、この合間に色々と付け足して、物語を膨らませていくのもまた、楽しみの一つです。
あとはまあ、いつものように書きながら考えつつ、お話の方向を固めていきました。実際に書き出していくと、口調や性格など大事なことが決まっていきます。
取り敢えず、2度ほど書き直しを挟みつつ、3話まで書いた時点でゴーサインを出すことにしました。勢いは大事ですよね……。
もちろん、これだけではどんどん明後日の方角に走り出しそうなので、幾つか前もって決めていた約束事───自分へのお題もあります。
・悪役不在
登場人物は、善良とまでは言わなくても、可能な限り普通の人々を出すことにしました。
もちろん、普通と言っても色々ありますが、極端に良識(≠常識)を外れた人々、例えば極悪人……快楽殺人鬼や他人の不幸を仕組んで冷笑するような人は×です。
理由としては、生活感を伴った世界観描写に力を入れたかったことが大きいでしょうか。日常の問題と、ちょっとした騒ぎをクローズアップすることで、読み手さんにもこの小さな村で暮らしてみたいと思って貰えるようになればいいなと、頭の片隅で考えておりました。
・起承転結の4部構成、各5万の計20万字
この調子だと10万字で話をまとめるのはたぶん無理、幸い上限はないから、じゃあ倍の20万にして起承転結の4部分に各5万字を割り当てておけばいいなと目算。遅筆と言いますか、寄り道が多いと言いますか、ようやく10万字の規定に到達したのは10月末日午後9時と、締め切りぎりぎりでした……。
応募規定では未完でも可と書かれていましたが、半分まではたどり着けたわけで、これは流石に完結まで持っていきたいところです。
最終候補に残っていなければ、2月の『転』で一端間を空け、5月頃から再開するつもりでした。夏にはじめて秋・冬・春、丁度1年計画です。
ですがこの幸運、そのまま放置するのはちょっと宜しくありません。読者投票の締め切りやその後の審査も考えれば、『ここで力入れないと、たぶん一生後悔する!』。……3月は、他の連載作どころか私生活放り出しました。
これは大体予定通りに行けたでしょうか。過不足1割未満におさめられたなら、私にしてみれば上等な方だと思うことにしました。
続編は……故あって、書こうと思えば書けそうな雰囲気で〆ています。今すぐは無理ですが、ちょっともったいないなと思ったりもするわけで、うーん……。
・電卓は使わない
これは私の悪癖であると同時に、作風の特徴となっているかも知れませんが、今回は封印することに決めました。
数字の羅列は世界観の作り込みに寄与すると同時に、どうにも硬い印象を与えがちになります。商売のお話ではありますが、ある一定以上の数字は出さないように気を使っていました。『ほのぼの』タグを追加して、自分への戒めに。
検算にこそ電卓を使いましたが、他は全て手作業です。
自分でも、約束事を最後まで守りきれたかどうか、守ることで切り捨てたものはどれほどか、守らなかった場合とどちらがよかったのか、今ひとつ自信はありませんが、上記のようなことを考えながら連載を走り抜けたことは間違いありません。
ちょっと長くなりましたので、一旦ここまでで〆!
次回は作品その物の裏話などを書き連ねてみたいと思います。
普段はあまり意識せずに書いているのですが、流石に指定がある場合は『それらしく』を考えながらでないと駄目だなあと思いながら書いていました
次は男性向けを意識した作品を書いてみようかと思ったりもします