分類文学:サキ(一)

2013年 02月21日 (木) 02:15

短編の名手として知られる英国の作家サキ(Hector Hugh Munro、1870年12月18日~1916年11月14日)の既訳と未訳を分類してみた。

以前にも同じようなことをしていましたが容量の都合で「Reginald」などの短篇集を省略せざるを得なかったので、今回は出来るだけ全部の作品名を載せるため以前の活動報告を改訂改編して二分割したものを載せておきます。

既訳の邦訳作品は下記の資料の目録に拠った(あくまでもデータとしての役割のみで、全作品に目を通せたわけではありません)。

【資料:翻訳書籍など】(註1)
〇朋文堂
 妹尾韶夫:訳『青春の氷河』(1942)
〇早川書房
 都築道夫、他:訳『幻想と怪奇:英米怪談集 第2巻』(1956)
〇新潮社
 中村能三:訳『サキ短編集』(1958)
〇東京創元社
 宇野利泰:訳『世界大ロマン全集38 怪奇小説傑作集II』(1958)
〇英宝社
 山田昌司・和田勇一:訳『丘の上の音楽・宿命の犬』(1958)
〇南雲堂
 神山正治:訳『対訳 サーキ/ベイツ』(1958)
○創土社
 中村能三:訳『サキ選集』(1969)(創土社)
 ※新潮文庫の再編、増補版
○サンリオSF文庫
 中西秀男:訳『ベスト・オブ・サキ』(1978)
 中西秀男:訳『ベスト・オブ・サキ II』(1982)
〇講談社
 田内初義:訳『サキ短編集』(1979)
〇岩波書店
 河田智雄:訳『サキ傑作集』(1981)
〇筑摩書房(ちくま文庫)
 中西秀男:訳『ベスト・オブ・サキ 1・2』(1988)
 ※サンリオSF文庫の再編版、四編増補
〇角川春樹事務所(ハルキ文庫)
 大津栄一郎:訳『サキ傑作選』(1999)
〇ソニー・デジタルエンタテイメント・サービス(全力書店、携帯配信の電子書籍)
 訳:tiger cub『超訳 サキの奇妙な話』(2010)
○風濤社
 奈須麻里子、辻谷実貴子、他:訳『自分の同類を愛した男 英国モダニズム短編集』(2014)(風濤社-A)
 渡辺育子、辻谷実貴子、他:訳『世を騒がす嘘つき男 英国モダニズム短篇集2』(2014)(風濤社-B)
 井伊順彦、今村楯夫、他:訳『〈サキ・コレクション〉レジナルド』(2015)(風濤社-1)
 井伊順彦、今村楯夫、他:訳『〈サキ・コレクション〉四角い卵』(2015)(風濤社-2)
〇白水社(白水Uブックス)
 和爾桃子:訳『クローヴィス物語』(2015)(白水社-1)
 和爾桃子:訳『けだものと超けだもの』(2016)(白水社-2)
 和爾桃子:訳『平和の玩具』(2017)(白水社-3)
○理論社
 千葉茂樹:訳「サキ 森の少年」(2015)


【短篇集:1904~1911】

〇短篇集『Reginald』(1904)
原題邦訳作品
Reginaldレジナルド(風濤社-1)(註2)
Reginald on Christmas Presentsレジナルドとクリスマスの贈り物(風濤社-1
Reginald on the Academyレジナルドと王立芸術院(風濤社-1
Reginald at the Theatre劇場のレジナルド(風濤社-1
Reginald's Peace Poemレジナルドと平和の詩(風濤社-1
Reginald's Choir Treatレジノルドと聖歌隊(英宝社
レジナルドの合唱会(南雲堂
レジナルドと聖歌隊の引率(風濤社-1
Reginald on Worriesレジナルドと心配事(風濤社-1
Reginald on House-Partiesレジナルドとハウスパーティ(風濤社-1
Reginald at the Carltonカールトンホテルのレジナルド(風濤社-1
Reginald on Besetting Sinsレジナルドと陥りやすい罪(風濤社-1
Reginald's Dramaレジナルドの演劇(風濤社-1
Reginald on Tariffsレジナルドと関税(風濤社-1
Reginald's Christmas Revelレジナルドとクリスマスの憂さ晴らし(風濤社-1
Reginald's Rubaiyatレジナルドのルバイヤート(風濤社-1
The Innocence of Reginaldレジナルドは無実(風濤社-1


〇短篇集『Reginald in Russia and Other Sketches』(1910)
原題邦訳作品
Reginald in Russiaロシアのレジナルド(風濤社-1
The Reticence of Lady Anne無口なアン夫人(英宝社
アン夫人の沈黙(創土社
アン夫人の沈黙(岩波文庫
アン夫人の寡黙(サンリオSF
アン夫人の寡黙(ちくま文庫
アン夫人の沈黙(理論社
The Lost Sanjakある殺人犯の告白(新潮文庫
ある殺人犯の告白(創土社
ある死刑囚の告白(サンリオSF
ある死刑囚の告白(ちくま文庫
出てこなかった州名(ハルキ文庫
The Sex That Doesn't Shop女性は買物をするか(サンリオSF
女性は買物をするか(ちくま文庫
The Blood-Feud of Toad-Water,
a West-Country Epic
トード・ウォーターの不和(ハルキ文庫
A Young Turkish Catastroph,
in Two Scenes
未詳(註4)
Judkin of the Parcels未詳(註5)
Gabriel-Ernest狼少年(新潮文庫
狼少年(創土社
狼少年(講談社文庫
狼少年(岩波文庫
ガブリエル‐アーネスト(サンリオSF
ガブリエル‐アーネスト(ちくま文庫
森の少年(理論社
The Saint and the Goblin未詳(註6)
The Soul of Laploshkaラプロシュカの霊魂(新潮文庫
ラプロシュカの霊魂(創土社
The Bag猟の獲物(サンリオSF
猟の獲物(ちくま文庫
The Strategist未詳
Cross Currents未詳
The Baker's Dozen十三人目(新潮文庫
十三人目(創土社
The Mouse二十日鼠(新潮文庫
はつかねずみ(南雲堂
二十日鼠(創土社
ハツカネズミ(サンリオSF
二十日ねずみ(講談社文庫
二十日鼠(岩波文庫
ハツカネズミ(ちくま文庫
ネズミ(ハルキ文庫
ネズミ(理論社


〇短編集『The Chronicles of Clovis』(1911)
原題邦訳作品
Esméエズミ(英宝社
エズミ(サンリオSF
エスメ(講談社文庫
エズミ(ちくま文庫
エズメ(白水社-1
The Match-Maker結婚媒酌人(サンリオSF
結婚媒酌人(ちくま文庫
月下氷人(白水社-1
Tobermoryトバーモリー(創土社
トバモリー(サンリオSF
トバモリー(岩波文庫
トバモリー(ちくま文庫
トーバモリ(ハルキ文庫
トバモリー(白水社-1
トバモリー(理論社
Mrs. Packletide's Tigerパックルタイトの夫人の虎(創土社
ミセス・パクルタイドの撃ったトラ(サンリオSF
ミセス・パクルタイドの撃ったトラ(ちくま文庫
ミセス・パクルタイドの虎(白水社-1
The Stampeding of Lady Bastableバスタブル夫人の遁走(講談社文庫
バスタブル夫人の遁走(サンリオSF
バスタブル夫人の遁走(ちくま文庫
バスタブル夫人の逃げ足(白水社-1
The Background重要美術品(創土社
名画の背景(サンリオSF
刺青奇譚(岩波文庫
名画の背景(ちくま文庫
名画の背景(白水社-1
Hermann the Irascible - A Story of the Great Weep癇癪もちのハーマン(創土社
ハーマン癇癪王(サンリオSF
ハーマン癇癪王(ちくま文庫
憤怒王ハーマン(ハルキ文庫
ハーマン短気王――大涕泣の時代(白水社-1
The Unrest-Cure非安静療法(創土社
反安静療法(サンリオSF
反安静療法(ちくま文庫
不安療法(ハルキ文庫
不静養(白水社-1
The Jesting of Arlington Stringhamアーリントン・ストリンガムの警句(白水社-1
Sredni Vashtarスレドニ・ヴァシュタール(東京創元社
スレドニ・ヴァシュタール(創土社
スレドニ・ヴァシュター(サンリオSF
スレドニ・ヴァシュタール(講談社文庫
スレドニ・ヴァシュター(岩波文庫
スレドニ・ヴァシュター(ちくま文庫
スレドニ・ヴァシュター(ハルキ文庫
スレドニ・ヴァシュタール(白水社-1
スレドニ・バシュター(理論社
Adrianエイドリアン(風濤社-A(奈須)
エイドリアン(白水社
The Chaplet名曲『花かずら』(サンリオSF
名曲『花かずら』(ちくま文庫
花鎖の歌(白水社-1
The Quest捜す(風濤社-A(辻谷)
求めよ、さらば(白水社-1
Wratislavラティスラヴ(サンリオSF
ラティスラヴ(ちくま文庫
ヴラティスラフ(白水社-1
The Easter Egg復活祭の飾り卵(英宝社
イースター・エッグ(創土社
イースターの卵(サンリオSF
イースターの卵(岩波文庫
イースターの卵(ちくま文庫
イースターエッグ(白水社-1
Filboid Studge, The Story of a Mouse That Helpedフィルボイド・スタッジ――ネズミの恩返しのお話(風濤社-A(奈須)
フィルボイド・スタッジ――ネズミの助っ人(白水社-1
The Music on the Hill丘の音楽(英宝社
丘の上の音楽(創土社
丘の上の音楽(白水社-1
The Story of St. Vespaluus聖ヴェスパルースの話(英宝社
聖ヴェスパルース伝(サンリオSF
聖ヴェスパルース伝(ちくま文庫
聖ヴェスパルース伝(白水社-1
The Way to the Dairy乳しぼり場へ行く道(サンリオSF
乳しぼり場へ行く道(ちくま文庫
乳搾り場への道(白水社-1
The Peace Offering和解の供物(風濤社-B(渡辺)
和平に捧ぐ(白水社-1
The Peace of Mowsle Bartonやすらぎの里モーズル・バートン(サンリオSF
やすらぎの里モーズル・バートン(ちくま文庫
モーズル・バートン村の安らぎ(白水社-1
The Talking-Out of Tarringtonクローヴィスの弁舌(サンリオSF
クローヴィスの弁舌(ちくま文庫
タリントン韜晦術(白水社-1
The Hounds of Fate運命(新潮文庫
宿命の犬(英宝社
運命(創土社
運命の猟犬(サンリオSF
運命の猟犬(講談社文庫
運命の猟犬(ちくま文庫
運命の猟犬(白水社-1
The Recessional讃歌(サンリオSF
讃歌(ちくま文庫
退場讃歌(白水社-1
A Matter of Sentiment気分の問題(ハルキ文庫
感傷の問題(白水社-1
The Secret Sin of Septimus Bropeセプティマス・ブロープの秘密の罪(英宝社
セプティマス・ブロープの秘密な罪悪(サンリオSF
セプティマス・ブロープの秘密な罪悪(ちくま文庫
セプティマス・ブロープの秘めごと(白水社-1
"Ministers of Grace"閣僚の品格(白水社-1
The Remoulding of Groby Lingtonグロウビー・リングトンの変貌(サンリオSF
グロウビー・リングトンの変貌(岩波文庫
グロウビー・リングトンの変貌(ちくま文庫
グロービー・リングトンの変貌(白水社-1
グロビー・リントンの変身(理論社


分類文学:サキ(二)に続く


【別に読まなくてもいい脚注】

☆註1
 創土社版「サキ選集」は新潮社「サキ短編集」の増補版であり、ちくま文庫「ザ・ベスト・オブ・サキ」はサンリオSF文庫「ザ・ベスト・オブ・サキ」の再編版である。そのため収録されている話は多くが重複していることに留意していただきたい。また、この未翻訳一覧は日本で出版された短編集が主で、アンソロジーについてはまだほとんど手がついていない。このあたりは、今後拡充していくべき点だろうと思う。

 さて、この未翻訳一覧は国立国会図書館やWebcat plusのデータベースを参照したり、雨宮孝氏の「翻訳作品集成」に目を通したりつつ、時には実際に翻訳書を手に取りながら作成したものである。
 だがしかし、この翻訳一覧の正確性について言えば、多少なりとも不安が残る、というのが現状である。何故ならば、手元の訳本を参照できる場合は良いのだが、それ以外のものについては、あくまでも二次資料を基に調べざるを得なかったためだ。正直なところ『これが絶対的に正しい!』と断言する自信は全く以て無い。
 例えば、現在手元にない創土社「サキ選集」に収載されている『神護』の原作が何であるかなどは皆目見当がつかない、といった有様である。
 新潮社「サキ短編集」と岩波書店「サキ傑作選」、筑摩書房「ベスト・オブ・サキ」、風濤社「英国モダニズム短編集」「レジナルド」「四角い卵」、白水社「クローヴィス物語」「けだものと超けだもの」の書誌情報については実際に訳本を参照したので大丈夫だと思うが、それ以外のものについてはタイプミスも含めて全く以て正確性が担保できていない。だから、間違いなどを指摘して下さる奇特な方が現れることを祈っている。

 ※追記(2016/9/10) ゲルン様からの情報提供により、創土社「神護」の原作は「The Name-day」だと分かりました。ゲルン様にはこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

☆註2、註3
 思えば、2015年の風濤社「レジナルド」の刊行は良くも悪くも衝撃的であった。サキの第一短編集の完訳が出版されるなどとは夢にも思わなかったし、収録作品のほとんどが初訳公開であることについても驚きを禁じえなかった。だがしかし、本書の刊行に先駆けてWeb公開されたものもあるので、私の知り及ぶ限りではあるものの、この場を借りて紹介していこうと思う。
 まず、表題作「Reginald」だが、これは2010年にすずめUD氏が「すずめのお宿は荒れ放題」にて「レジナルド」の邦題で公開されている(たぶん、これが本邦初訳じゃないかなと思うけれども、即売会での同人公開とかもあるかもしれないので迂闊なことは言えない)。ちなみに私も、次ぐ2013年に「小説家になろう」にて拙訳「レジナルド」を公開している。
 また「Reginald in Russia」は2010年に、すずめUD氏の「すずめのお宿は荒れ放題」にて「ロシアのレジナルド」の邦題で翻訳公開されているし、次ぐ2013年に「小説家になろう」にて中ノ 晁氏の「レジナルド、ロシアで」が公開されるに至った。

☆註4、註5、註6
短編集『Reginald in Russia and Other Sketches』に収録されている「A Young Turkish Catastroph, in Two Scenes」「Judkin of the Parcels」および「The Saint and the Goblin」は一覧の方では「未詳」としているが、それぞれ手前味噌ではあるものの「青年トルコの悲劇 ~二つの視点の物語~」「ジャドキンは小包を運ぶ」「聖者と悪鬼」のタイトルでWeb公開の翻訳がある(というか、翻訳が無かったので翻訳した)。
 「A Young Turkish Catastroph, in Two Scenes」は婦人参政権がテーマとなっており、女性差別的な内容を含むものなので、読むときには注意が必要である(婦人参政権を扱った作品としては他に「Hermann the Irascible」や「The Gala Programme」があるが、いずれも否定的に描かれている)。
 「Judkin of the Parcels」は訳者(=私)の頭がポンコツなので、ふわふわとした感じで全く頭に入ってこないし、きっと翻訳も間違っているに違いないだろうと思う(一度、翻訳しなおすべきだと思う)。
 「The Saint and the Goblin」は聖堂を舞台にした寓話で、善人の利己心を痛快に描いている。この話と舞台を同じくする悲劇「The Image of the Lost Soul」が風濤社「四角い卵」に収録されている(邦題「地獄に堕ちた魂の像」)ので、それも併せて読むのも良いだろう。

コメント

2016/8/28
1942年刊行の「青春と氷河」
1969年刊行の「サキ選集」
2014年刊行の「英国モダニズム短篇集2」
2016年刊行の「けだものと超けだもの」
および些末な脚注を追加しました。
着地した鶏  [ 2016/08/28 00:46 ]
2015/12/30
2015年刊行の「四角い卵」と「サキ 森の少年」を追記更新しました。
着地した鶏  [ 2015/12/30 02:41 ]
当該記事が、コミカライズ作品「クローヴィスのクロニクル」の作者である二宮亜子先生の目にとまったようで、感涙極まる。急ぎ書店に出向き在庫僅かな「クローヴィスのクロニクル」を購入した。
着地した鶏  [ 2015/11/08 16:36 ]
2015/4/26
2014年、2015年に刊行された新訳の三単行本を追加。
着地した鶏  [ 2015/04/26 21:28 ]
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