超常現象も、不可思議も、この世界には存在しない。
そう思っていたのに。
風祭(かざまつり) 圭一(けいいち)は、いたって普通の男子高校生である。
ひねくれていて、無気力そうなポーズを見せるわりに、半端に情にあつく。
そこそこ目立つ幼なじみがいて、ちょっとだけオカルトに詳しい、そんな少年。
彼の日常は、なんの異常もなく続いていくはずだった。
謎の転校生が現れるまでは。
突然の天変地異によって、圭一の日常は一変する。
緑の霧に包まれて、外界から隔絶された街。
人々の混乱。そして、“幽霊”──地震で死んだはずの幼なじみ──との出会い。
超常の謎を解き明かすため、少年は一歩づつ、日差しのなかへと踏み出してゆく。
これは、真夏の幽霊(オカルト)に別れを告げるまでの話。