葵蒼汰は自分を普通の人間だと思っていた。
そう、アイソドシンクという、矛盾の神に会うまでは。
少女の姿をしたその神は、自らを称して言う。
『概念の具現化、事象の可視化、理の権化』と。
つまりは概念そのものなのだと、言う。
だが葵蒼汰という人間にはそんなことはどうでもよかった。
その少女が人間だろうが神だろうが悪魔だろうが化け物だろうが、問題ない。
問題なのは、そいつが可愛い妹を殺そうとしていることだ。
妹?
だが矛盾の神は、さらに言うのだ。
『“これ”はあなたの妹ではありませんよ、人間さん』と。
そして蒼汰は知ることになる。
人知れずこの世に生まれた、概念の具現《核神(コンセプター)》達の存在を。
そしてもう、普通の日常には戻れないということを。
存在の価値を巡る物語が、今始まる――。
『あなたは“世界の始まりの矛盾”を知っていますか?』