脇役。
どこかの辞書にはこうあった。
映画、テレビドラマなど登場する中で主役以外のものもしくはいくつかの重要な役以外のものの総称。
ただし、人生において自分が主人公でないことはあり得ない。そう自分は自分にとって主人公のはずなのだ。
人生というストーリーの中で脇役な訳が、ない、はずなのだ。
かくいう神崎伊織はそんな脇役には程遠い、ルックス、成績、身体能力を持ち、まさに主役と呼べる設定を持つ。
これまでの人生で成功を収め、失敗を享受し、決して過信せず、自惚れず、慢心など微塵も彼にない。
そんな人となりも持ついわば完璧と呼べる彼は、まさに完璧な主役、いや、完璧な"脇役"になることに成功したわけだ。