ーーーあの日から、伊豆の夜は奪われた。
2028年7月10日。
それは、一件の掲示板の書き込みから始まった。
「ワイ、伊豆旅行中に歩くゾンビ見たんやけどw」
この書き込みは散々叩かれたが、翌日からこの「ゾンビ」の目撃情報が徐々に増加していった。
そして、いつしか一種の都市伝説と化した。
しかし、ネットで話題になったのも束の間、7月20日を境に目撃情報がぱったりと止んだ。人々は愉快犯や便乗犯のせいだと思い、飽きて一切話題にしなかった。
だが、この時人々は気づかなかった。大きな災厄が待っていることを。
8月15日深夜。
突如としてゾンビの大軍が伊豆半島のお盆で賑わう市街地を襲った。寝静まっていた人々はなすすべも無くゾンビの餌食になった。
8月18日。
事態を重く見た日本政府は自衛隊を伊豆半島全域に派遣。
だが、ゾンビに通常兵器では歯が立たず、一つまた一つと小隊は消息を絶つ。
8月27日。
遂に10日足らずで自衛隊は壊滅してしまう。
その知らせを聞いた政府は以前から進めていた沼津〜函南〜熱海にまたがる巨大な防壁の建設を急いだ。
9月7日。
壁が完成し、隔離された伊豆半島(いずはんとう)でNightslayer(ナイトスレイヤー)という皆が寝静まった後、夜の闇に紛れてゾンビを狩る異形の存在が幅を利かせていた。
Nightslayerである青年の一人「鈴木浩」は、ゾンビに襲われていた少女「渡辺洋子」を助け出す。
その日から貨幣経済が完全に崩壊し、行政も機能を失い、食料の供給がストップし、無法地帯と化した伊豆半島をめぐる抗争に巻き込まれていく。
作品情報
ローファンタジー[ファンタジー]
R15残酷な描写あり
最終更新日:2017年11月26日
ハードボイルド スプラッタ 異能力バトル 近未来 ディストピア バイオハザード パンデミック ダーク 男主人公 内政 超能力 ゾンビ
読了時間:約40分(19,884文字)