名無しの権兵衛様へ
俺の彼女は、勇者様です。
愛しき勇者様曰く、異世界にいた頃はブイブイ言わしていたみたいです。
世界征服を目論む魔王を倒し、それと同時に人間達に平和が訪れ、勇者様は誰からも尊敬される存在になったそうです。
容姿も完璧な勇者様は、まさに女神のように崇められ、人間だけでなく魔族からもアプローチされるみたいです。
ただ俺から言わしていただくと、勇者様は痛い子なんです。
彼女は、世界は自分中心に動いていると考えているからです。
この間も、街の人達を生きる底辺、王様の事を偉そうな糞袋と罵っていました。
とは言っても、流石は魔王を倒した勇者様。
全てのステータスはカンストしていて、多くの魔物を倒したという実績もあるので、残念ながら実力は本物です。
正に生きるチートです。
勇者様の固有スキル「あんたのものは私のもの、私のものは私のもの」によって、相手の長所を奪うことで、技を覚えたり、カンストしたステータスでもプラスαで成長し続けることができるそうです。
正にチートの中のチートです。
更にめんどくさい事に、勇者様は癇癪持ちです。
気に食わない事があると暴れまわり、城や山などを破壊してしまったそうです。
現に俺も何回か肋骨やられました。
正にチートによる荒らしです。
そんな勇者も今では、こちらの世界で俺と2人暮らしをしながら同じ高校に通っています。
常に核弾頭を背負って生きているような人生です。
ある日、嫉妬に狂った勇者様によって、魔王から奪った固有スキル「お前なんか魔物になっちゃえ!」により、俺はサキュバスに変えられてしまいました。
元に戻るには、勇者様に触れ続けなければなりません。
つまり、一生勇者様から離れなれなくなりました。
今も勇者様にご奉仕しながら、この世界で生きています。
梅桜椿(うめざくらつばき)より
作品情報
ローファンタジー[ファンタジー]
R15
最終更新日:2018年12月20日
日常 男主人公 女主人公 勇者 魔法 人外 チート 現代 魔王 サキュバス
読了時間:約43分(21,143文字)