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連載 2エピソード
僕は兄が嫌いだ。 兄といっても双子の兄で正確には同い年の兄だ。 僕たちは元々産まれてすぐに孤児院に入れられ2人はバラバラの親に行くはずだった、なのにあいつが「一緒じゃなきゃやだ!」なんて言ったせいでずっと同じ場所にいる。 兄は何でもできる。 ゲームで勝ったこともない。 チェス、将棋、オセロ、花札、ポーカー、テレビゲーム、なにをしても勝てなかった。 あいつは勉強も運動も何でもできた。 テストは学年一位だし走れば学年一位、出来ないものなんてなかった。 同じ小学校、中学校と進むと周りの態度もすぐに分かる。 先生も友達もみんなあいつに行く。 僕も出来ないわけじゃない。 テストなら全教科平均ぐらいだし三十位には入ってる。 運動だって出来ないわけじゃないしどのスポーツでもある程度はできた。 それでも兄と比べられてしまうと 「何でお兄さんにできて君にはできないの?」 「何でお兄さんはあんなに出来るのに君はできないの?」 もううんざりだ。学年が上がると絶対言われる。 先生だってそうだ。 「あー、お前かぁ〜お兄さんが良かったのにな〜」 「お前かよ〜お兄さんなら楽だったのにな〜」 それでみんなが笑う。 もう分かってたことだ。僕が兄さんに勝てないのも、みんなも兄さんといる方が楽しいって事も。 分かってたはずだった。 それでも
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最終更新日:2017年05月31日
日常 サスペンス 読了時間:約20分(9,645文字)