世界に生れ落ちて20余年。世に疎まれる危険な魔物を肉体に封じ込まれるだけが使命であった、とある男。
とある騒動から逃げ延びた男は、その先で美しい魔女と出会う。
「生きるとは素晴らしいものなのでしょうか?私は、生きることの一切を知らないのです。永くを生きたあならならば分かることでしょう?」
男は魔女に問いかけた。なぜなら彼は、生れ落ちて20余年、自我は心の内に封じられていたのだから。
「私は解を持ち合わせてはいません。生きることが美しいかどうか……それは、己が死ぬ間際に、初めて解が得られるものではないのでしょうか」
魔女は答えることができなかった。不老不死の彼女は解を得る式は知っていても、解を得ることは永久にないのだから。
「私はその解を知りたい。この身に宿す友を、解放してあげたいのです」
「ならば、共に旅をしましょう。観て、聴いて、知って……その真っ新な心に、赤や青や黒を塗り付ければよろしいでしょう。あなたがそうして生きて、死んでしまう一時前に、その問いの答えは現れるのでしょうね」
そして、魔女と男は共に旅をする。
冒険 ほのぼの 男主人公 異世界 西洋 中世 魔法 シリアス ダーク
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