俺はその日、ある種テンプレートととも言える、異世界召喚とやらを被った。ほぼ誘拐まがいだが、勇者として優遇してくれるなら、つまらん大学生活よりはマシだろうとタカを括った。
だが、なんと俺は、俺と一緒に召喚された高校生、日向瑞希の勇者召喚に巻き込まれただけだったのだ。
そしてなんやかんやと色々あった挙げ句王女のアリアに、侵入禁忌指定の迷宮「処刑谷」へ突き落とされてしまう。
谷底へと落下していく最中、アリアは俺に向かってこう言い放った。
「勇者とは、二人も必要ないのです」
とな。
さあ、死ぬ気で這い上がって、地獄の復讐劇の始まり―――――かもしれない。やる気は無い。