祖母の家へと向かったフロレットは恐ろしい出来事に遭遇する。 雨が降りしきるなか逃げのびた先にあったのは大きな屋敷であった。 そこにいたのは家主である金髪の青年クラウスと、雨宿りにきたという四人。 優しく迎え入れられ安堵したのも束の間。フロレットはふたたび惨劇を目にすることになる。 誰が真実を語り、誰が嘘を言っているのか。 果たしてこれは現実なのか、それとも夢なのか。 誰も、自分さえも信じることができない。

「俺の親父が今朝、蛇の死骸を見たらしいんだけど……さ」 ある男の一人語り。男の父親が蛇の死骸を見た話をきっかけに広がる男の空想。

自分の生を肯定することができず生きる価値を見出せない少年犬走（いぬはしり）は、行き倒れて死を待っていた際に一人の青年僧と出会う。 「この世からの逃げ場所がほしい」という犬走に、青年僧は「地獄への道案内を買う」と言い放つ。 青年僧を食いつぶすであろう未来を予感しながらも、犬走は彼のあとについていく。 日本古代の世界観をベースとしたファンタジー。