かつて異世界より勇者が召喚された。
異常な身体能力、圧倒的な文明力、個々が持つ『天恵』と言う特殊能力で、大英雄と呼ばれたその勇者は戦乱蔓延るエルドラド大陸を平定した。各領地は大英雄のような有能な勇者を求め続け、戦争が終わった現在でも教会は勇者を召喚する。エルドラド大陸は勇者たちの力によって急速に発展していくのであった。しかし大量召喚によって悪事を働く『偽勇者』の存在が浮き彫りになる。帝国はそれに対抗する手段として帝都と各領にエリート集団である『対勇者警察隊』(以下対勇隊)を設けさせた。
ルーク・ブライトウェルは10年以上前、勇者に家族と親友を殺害された過去を持つ。二度とこの惨事を繰り返さぬように鍛錬を積み重ね、無能力者ながら勇者と同等の力を手に入れた。そして地元クラネスの対勇隊に史上初めて現地人として合格すると、その後も功績をあげ続け、18の春ついに帝都の対勇隊へと招聘されることとなった。
これは無能力者の主人公と、それを取り囲む勇者達の二冊目の英雄譚。さらに異文化で溢れた日常。
そして、ある一つの願いの物語。