21世紀末。人類は突如現れた自らを"向こう側の世界の住人"と名乗る、通称「異端人」から攻撃を仕掛けられ甚大な被害を受けて滅亡の危機に瀕していた。
堪らず国連事務総長は「終末宣言」を発表した。しかしそんな運命を人々が受け入れるはずも無く、世界各地で大規模なデモが発生。事態は更に悪化の一途を辿った。これに対し国連は急遽国連総会を開催。そしてその採択により各国政府に「全人類延命措置命令」を下し、全世界の国民が少しでも長く生きられるようにするよう命じた。 しかしやり方は、各国政府のやり方に任せるというような曖昧なものだった。
そのわずか一週間後、日本の首都・東京を異端人の軍隊である「全人類統一軍(通称:HUF)」の武力介入部隊が急襲。日本政府は軍隊を持っていない上に自衛隊派遣に対して意見が割れ、そうこうしているうちに東京は壊滅状態に陥り、ライフラインや行政システム等も麻痺してしまった。
まさに泣きっ面に蜂状態の日本政府は生き残った人々と共に地下シェルターに避難。これから対策本部を設置し作戦を練ろうとしていた矢先、HUFから日本政府に対して宣戦布告の電子文書が届く。
『日本を陥落させた後、全世界に総攻撃を仕掛ける。』と。
これを受け日本政府は「国家非常事態宣言」を発表。打開策として、世界各国に応援要請をすると共に、秘密裏に開発していた人型最終"兵器"を用いることを決定する。
その"兵器"の名は「β-replica(ベータレプリカ)」。それは人間の脳波の一つであるベータ波を用いて身体能力及び体そのものを強化して戦う"兵器"。そしてその"兵器"はロボットでも戦闘機でもなく、『適合者となった人間が特殊なスーツを着用して戦う』"兵器"だった。
そして選ばれた適合者は5人の少年少女。その5人の内に、目の前で家族及び親戚全員を殺され心に深い傷を負った少年・皇 レイもまた、選ばれたのであった。
戦う他に生きる道を見出せなくなった少年少女たちは、戦いの中で一体何を見て、一体何を感じるのか。
そして人類の運命はーーーー。
近未来 人工知能 ディストピア シリアス 男主人公 未来
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