今から700年前、全てをゲーム感覚で楽しんでいる残虐な王様に歯向かう者が現れた。
勇者と魔王の戦争は100年続き、ついに魔王は勇者を呪い封じ込めた。
それが“レシフィア戦争”である。
私はそんな残虐非道な魔王に挑戦して来た勇者に敬意を讃え、これを書き留めるーー。
彼女は、一字一句見逃さないように何度も何度も同じ所を繰り返し読んだ。
「今、再び勇者がこの世界に蘇るだろう……」
予言者が殺される直前に言った最後の言葉である。
もし、再び勇者が現れるとするならば。
この本は必ず魔王を倒す鍵になる。
彼女はぐっと拳を握って力を込めると早足で部屋を後にした。
空いていた窓から、月の光と共に穏やかな風が入り込んできた。
風がページを捲り、あるページに描かれていた紋章に月の光が当たった瞬間、本が輝き世界が真っ白に塗り潰された。
これは、とある国の魔王の話である。