夏の雨上がり、ずぶ濡れになりながら溜息をつく。 そういう日に限って、会いたくない人には会ってしまう。

連休の終わり。私はノートを求めて走っていた。どうしてもあのノートじゃないとだめだった。心が苦しくて仕方ないから、私は走っていた。

　リコリスの花は切ない。目に痛いほどに切ない色をしている。 　彼女との思い出はいつまでも色鮮やかではあるが、視界がかすむ。 　これは私と彼女の思い出話。今となってはもう思い出でしかない話。

夜の散歩、そう言ってしまえば聞こえはいいが単なる迷子である。夜空を見上げても星も見えなければ月も見えない。そんな夜に迷子である。道を間違えた。どうしてこうなってしまったのだろうか。 疲れて泣きたくて呆れた、そんな他愛もない夜。 他愛もないはずだった夜に道を踏み外すお話である。

夢を見た。とても恐ろしい、幸せな夢を。悲しくなるほど、幸せな夢を。

私は彼の浮気現場を見てしまう。それはとても大きな衝撃を彼女に与えた。そんな、彼女のお話。 備考 十月七日：改行ズレ、誤植を修正。

リハビリがてらにノープランで一時間ほどぬるっと打鍵した結果です。 久しぶり過ぎて全く文章が書けなくなっているようです。

眠い。非常に眠い。でも、寝たくない。そういうときだってあります。

　眼を閉じればいつだって彼女に会える。息を止めればいつだって彼女と話せる。だから、悲しくはなかった。辛くはなかった。 　いつからか、憂鬱な私と水底で微笑む彼女。 　憂鬱な私のわがままを、彼女はゆるしてくれるだろうか。

路傍之杜鵑様企画『殺し愛、空』参加作。 空に昇る月の裏側を見ることはできない。 月は誰にも出会えない。 もろい平行線。 ――君の笑顔は、誰も知らなくていい。