少年、御堂和明の迎えた朝は少し違ったものだった。いつも通りの日常の中で重なる些細な違い。 部活を終えた彼に襲い掛かる死への脅威。絶体絶命のその時――現れた一人の少女。 「これから私たちは対外的に恋人同士ということにしましょう」 「こ、恋人同士！？」 　襲い掛かる三つの病。少女は少年を守るため、二人は一つ屋根の下、同居生活が始まる。 　別れた道、交差する道。少女との出会いは一体、少年に何をもたらすのか。

警察官の父親を持つ少女が失踪した。名前は「関内愛梨」。父親似の正義感の強い女の子だった。家出か、誘拐か。街や幸来の通う学校には不安を煽る噂ばかり。愛梨の小学校以来の親友であった「幸来」。娘を想う父親「義紀」。真相に近づくにつれ、日常が、心が、狂っていく。

　――霊具。 　それは、第三次世界大戦末期に開発された神話等の武器を軍事用に開発したもの。 　大戦終了から数年、日本に集まったそれらは各地で密かに事件を起こしていた。 　これは、その霊具を回収する一人の男の物語である――

　人々の生活にアンドロイドが普及した世界。そんな世界の中で、最新器具が苦手で時代遅れの代物を使っている少年・安藤遼は普通に過ごしていた。そんなどこにでもある優しい日常。 　それはクラスメイト全員に来た、着信拒否の出来ないメールによって変化した。受信者の姿が撮られた写真と現在地が書かれたメール。それによって安藤の生活は段々と変化していった。

　文芸部に所属する高校生「私」は学校屈指の変人の先輩、天城森羅の悪行に付き合わされる毎日を送っていた。 　天城は映研の生徒たちを利用し文化祭の日に校舎を占拠するという計画を立てる。実行されたその計画は、テロリストの介入が。 　そして天城は不穏な行動をみせる。 　一方、生徒会員の吉川やドイツからの留学生のフリードリヒもそれぞれ事件に巻き込まれていく。 　少年たちの混乱は巨大な謀略と結びついて、思いもよらぬ方向へ

　あなたは、自分の理想と、現実との“ずれ”を感じたことがあるだろうか。また、その“ずれ”の大きさを叩きつけられたことはあるだろうか。そして、その“ずれ”を埋める具体的な何かを、あなたは考えたことがあるだろうか。本作品ではそんな理想と現実との差を感じた、ある若者の胸中に焦点を当てている。

　ある質問に男が答えた。 Q幸運と不幸、どちらが多いかで人生が左右される？ Aそんなもので決まってたまるか。 　　 Q不幸が多ければ不幸せ？　幸運なら幸せ？ A経験してもいないのに断言できるというのか。味わってから言え。 　ある女が質問に答えた。　　 Q幸運と不幸、どちらが多いかで人生が左右される？ Aあたりまえじゃない。 Q不幸が多ければ不幸せ？　幸運なら幸せ？ A常識よ。 Q人間によって価値観はそれぞれ。違う者を混ぜるとどうなるだろうか？ A

　雨が降っている。 　私の嫌いな雨が。 　好きでもないのに雨は私に付きまとう。 　雨は隙間なく灰色のコンクリートを黒く染めていく。溝に溜まり、木々に張り付く水は雨の後を残していく。 　それだけのことで私はひどく気分が落ち込む。 　雨が降る限り続くこの気分は最悪だ。 　もうすぐ一年で最も嫌な梅雨の時期が始まろうとしている。

　寒いくて、冷たい雨が降るそんな夜だった。友達の茜から突然の連絡。家とは違う方向から来る茜。その顔には涙の跡、妙にビクついてる身体。いったい何があったのか？

　どうして人間は他人と話をするとき、相手の考えを分からないまま、動くことが、話すことが出来ないのだろうか。 　他人を完全に理解できないのは世界の理。 　しかし世界の理を否定してでも僕は他人を理解したい。