辺境伯の一人息子、跡継ぎとして育ってきたシーベルタ。次期当主として相応しくあるべく強く逞しくあるために、男を磨き続けてきた。そしてもうすぐ成人を迎え、正式に跡継ぎとなることが決定するはずだったその時、父の第二夫人が出産、弟が生まれた。
弟が生まれて浮かれているシーベルタに、父から衝撃的事実を告げられる。「シーベルタよ、お前は女だ」と。そして弟を次期当主に据えると言われる。
男以外が当主になれない貴族界、シーベルタの未来は完全に閉ざされた。
自分の生きる道を模索したシーベルタは、メイドと共に家を出る決意を固める。
男として生きてきた辺境伯令嬢とメイドとで、世界を旅する珍道中の始まりである。