原因不明のヒトが人を襲うという病の感染爆発から半年後・・・
生き残る者は協力し合い、チームを作り、邑を作り、それぞれの工夫でそれぞれが、崩壊した日本の中で何とか毎日を生きていた。
崩壊・・と言っても、これまで私たちが作り続けてきた「社会」の機能が失われてしまった訳ではあるが、それでも夏の夜の水田ではカエルが鳴き、秋には紅葉で山が赤く染まり、冬の湖には寒さで動きの鈍くなった魚たちがゆっくりと泳ぎ続け、春には桜の並木が街中にピンクの帯を作り出していた。
変わってしまったものの中に変わらなかったものがあり、変わらなかったものの中に変わってしまったものがあった。そのようなものが入り交じっていたのかもしれない。