学校からの帰り、その日は雨が降っていた。
平穏に目立たず学校生活を送る平野尊(ひらのみこと)が自分の住むマンションに帰宅すると隣の部屋の住人、学校でもその美貌で有名な鳴海朱莉(なるみあかり)はびしょ濡れの姿で自室の玄関前で膝を抱え座っていた。
気まぐれにお節介を焼いてしまい二人の関係が変わっていく。
「……誰も頼んでないけど」
「俺が勝手にやったことだ」
今まで関わることのなかった二人が小さなきっかけから距離を少しずつ縮めていく。
親しくなるにつれて学校では見せない姿を見る機会が増え、お互いに名前がわからない感情に心が揺さぶられる。
褒められるとすぐに照れてしまう朱莉と無意識に褒めてしまう尊のじれったくも見守りたくなる青春の物語。