その日、私は繁華街を散歩していた。心と体のリフレッシュを兼ねての外出だった。
数週間続いたレポートのまとめ作業になんとか終わりの目途を付けることが出来たからだ。
特に行きたい目的地があって繁華街まで出てきたわけではない。ただなんとなく目新しいものがあるのではという曖昧な理由からだった。正直に言えば、暇つぶしと気分転換さえ出来れば何でも良かった。
街の風景は歩くごとに新鮮に見えた。普段仕事で歩いている道でも行き交う人々や時間が違うと全く別の顔をのぞかせる。そんな違う顔をカメラのファインダー越しに一枚一枚切り取ることが唯一の趣味だった。
日常 スプラッタ
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