「“ここ”には、あなたが望む“術”があります」
昏い書架の群れの中、その少年はそう言った。
時は現代。とある街。
一人で暮らす孤独な少女、神無月あやな。茹だる様に暑い夏の夜、彼女は一人の少女に出会う。帰る場所も、名すらも持たない彼女に、あやなは「つきな」と名をつける。
そして始まる、少女達の奇妙な共同生活。
互いに言えぬ言葉を持つと知りながら、絆を強めていく二人。
けれど、その想いを嘲笑う様に、かの”術”は彼女達を数奇な運命へと誘っていく。
あやなを苦しめる秘密。つきなが孕む謎。ある目的のために、つきなを求める少年。そして、夜の狭間から彼女達を見つめる存在。
世に放たれた”術”が導くは、破滅か希望か。
これは、世界の狭間で紡がれる、鮮やかな血に染む物語。