誰かを信じるたび、裏切られ、踏みにじられてきた少女・りん。
言葉にしなかった痛みは胸の奥で冷たく灯り続ける小さな火になった。
家族に愛されなかった記憶、社会に拒まれた過去、
自分を守るために築いた境界線の内側で、りんは”人を信じること”をそっと閉じ込めて生きていた。
そんな彼女のもとに、過去と未来をつなぐ一通の手紙が届く。
それは、かつて心を通わせた「たった一人の灯火のような人」からのものだった――。
東京の片隅、静かな大学の中で、りんはもう一度誰かと向き合うことを決意する。
それは傷を抱えたまま、誰かの人生に寄り添うという、あまりにも優しい選択。
悲しみも孤独も、優しさも、すべて自分のままで。
やがて灯火は、誰かの手の中にそっと受け継がれていく。