会うは別れの始めと言うが、別れた後、人には人それぞれの人生がある。
佐藤洋一と中井正貴という二人の男にも、小学校の時の二年弱の濃密な
交友の後、それぞれの人生があった。中井は会社を退職後、ふと、父の
転勤により二年ほど住んだ町を訪れてみようと思い立った。
そして、その懐かしい町に赴いた。
一方、佐藤は海が見える丘の喫茶店でコーヒーを飲みながら、ぼんやり
と過去の追憶に浸っていた。
そして、中井との二年足らずの交友の思い出が脳裏を過っていた。
中井は知らず知らず、佐藤の居る喫茶店に足を向けていた。
かつての無二の親友、佐藤と中井は五十年ほど隔てた歳月をおいて、
邂逅するのであろうか。
日常 青春 私小説 小学校時代の交友 生きたそれぞれの人生 1960年代の時代 旧友同士の邂逅
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