『このスキルは戦えない。けれど、戦場を変えることはできる』
辞められない職場を辞めた先が、もっと辞められない場所だった。
ブラック企業で心と胃を擦り減らし、
終電帰りと休日出勤に追われる日々の果て。
ある日、彼女はオフィスで倒れ――そして、目を覚ます。
そこは異世界。配属先は、魔王軍だった。
ところがこの魔王軍、
離職率は三桁、制度は崩壊、部署間の連携は皆無。
地獄のような“職場”で、彼女に与えられたスキルは《平時調整》――
戦えず、癒せず、光らず。ただ人の配置と負担を“平準化”する、ハズレスキル。
それでも彼女は、デスクに積まれた配置票を見て考える。
「まず、“人が死なずに働ける形”を作らないと。
戦うのはそのあとだ」
戦うのは剣でも魔法でもない。
疲弊した現場と、壊れかけた人の心。
そして、正面から誰も見たがらない“組織そのもの”。
これは、ひとりの元社畜が――
“逃げずに仕組みを変える”ことで、“戦場”そのものを書き換えていく物語。
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