存在を消された子どもたちがいた。
戸籍も、記録も、家族さえも奪われ、ただ「実験材料」として生きるよう仕組まれた少年少女たち。
その10人は、ある日、研究所の消失と共に闇の中に解き放たれる。
行き場も、名前も、未来もないまま。
それでも彼らは一つだけ確かなものを選んだ──「互いを家族と呼ぶ」ことを。
彼らは裏社会の片隅で、秘密裏にマフィア組織を立ち上げた。
その目的はただ一つ。
かつての自分たちのように“奪われた存在”たちを保護し、生きる場所を与えること。
「正義」ではない。「救済」でもない。
ただ、生きる意味を失った者たちが、もう一度誰かと笑える場所を作るために。
そんなある日、組織のひとりが、雪のように白い髪を持つ無表情の少女を連れてくる。
言葉少なく、感情を見せないその少女に、どこか自分たちの影を見た10人は、彼女を迎え入れる。
しかし、その出会いは運命の引き金だった。
少女の正体、そして彼女を追う“かつての研究機関の残党”たち。
次第に明かされる少女の秘密は、10人の過去と深く絡み合い、
やがて彼らの「家族」としての絆までも試されていく。
マフィアという仮面の裏で交差する、過去と未来、罪と再生、愛と裏切り。
そして、その中で少しずつ芽生えていく、「普通に笑う日常」という名の奇跡。
少年少女たちの第二の人生は、銃声と笑い声、そして涙と共に始まる。
HJ大賞6 集英社小説大賞6 123大賞6 ダーク 男主人公 女主人公 BK小説大賞 マフィア
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