※この作品は「カクヨム」にも掲載しています。
これは、感情をエネルギーに変換する心の新領域「聖杯」によって、特殊能力を行使できる「アイドル」となった少女たちが、黒色の怪物「イドラ」との戦いや仲間たちとの葛藤を乗り越え、成長する物語である。
今から四年前。いつも明るく元気な少女、リンは、イドラに襲われて窮地に追い込まれたところを、アイドルのキリアに救われた。この出会いが、彼女の大事な転機となる。
「キリアのような、誰かを救えるアイドルになる」
その憧れを叶えるため、母親とともに、邁進するリン。しかし、彼女は焦っていた。焦燥の原因は、十歳の頃に発症した脳の病気だった。
リンは、その病気が原因で、二十歳以上生きることができないと宣告され、悩み苦しんでいた。また、残された時間を使って、自分の夢を叶えようともがくうちに、母親との関係がこじれてしまう。そうした葛藤の日々が続いた結果、リンは、他者を、信じて頼ることができない人間になってしまった。
そして、現在。「プロダクション」と呼ばれる組織の研修生となった、十六歳のリンは、キリアが所属していたユニット「キャメロット」のオーディションに挑戦する。
選考が進むにつれて、リンは、オーディションの候補者たち、キャメロットのメンバー、そのプロデューサーと出会い、交流を深めていく。他者と向き合い、自分と向き合いながら、成長を続け、ようやくたどり着いた最終審査。そこでリンの前に立ちはだかったのは、同じ候補者の中で一番の実力を持つ、ライバルのルナだった。
ルナとの戦いで、リンはアイドルとして最大の辱めである「聖杯浸食」を経験して、絶望の底に落とされる。しかし、自分の憧れと尊厳を失わず、オーディションを通じて、信頼できる他者と出会い、他者を信じる勇気を手に入れたリンは、再び立ち上がり、ルナとの戦いに勝利する。オーディションにも合格し、憧れのアイドルとして最初の一歩を踏み出すことができた。
シリアス 女主人公 現代 アイドル 騎士 変身 剣と魔法 自己愛 ライバル 憧れ フラッシュバック 毒親 尊厳 立ち上がる
読了時間:約250分(124,922文字)