雨乞いのため、神様への生贄となった翠。
物心がついたときから忌み子として周囲から疎まれ蔑まれ続けた彼女は、全てを諦めて最期を受け入れていた。
「今日このときから、お前は私のものだ」
水神、淡稀と過ごす中で芽生えていく想い。
温もり、笑顔、優しさ、涙、寂しさ、愛情ーー。
「どうしてお前なんかが幸せになれると思うんだ?」
「全部ぜんぶ、お前のせいなのに」
そして、知る由もなかった自身の力。
「わたしは……此処に、貴方の側にいて、いいのですか?」
全てを知らずにいた翠が、少しずつ“すべて”を取り戻していく物語。
異類婚姻譚 神様 和風 生贄 花嫁 ハッピーエンド
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