オリジナル小説シリーズ
『ぼくらは晴れて人生を卒業します』
父と妹を失った後に迎えた花火大会。
キレイな花火が打ち上がる度に少年はその瞳から涙をこぼす。
翌年の春、目つきの悪い少年ヒビトは母親に連れられてとある町に引っ越して来た。
彼の目に映りこんだ花火大会のチラシ。
「今年の花火は、笑って見られるといいなぁ」
そんな想いを馳せながら臨む夏休み。
少年のともだちは野良猫1匹。
それでも彼は、次の花火大会を笑顔で迎えられるのか?
同じ町に、真っ白な盲目少女が暮らしていた。
「君の目を、見えるようにしてあげる」
真っ白な盲目少女ハナは、夢の中で天使を名乗るうさんくさい男と出会う。
「期間限定! 今だけだよ! 条件たった二つ! それに……」
"君のお母さんも喜ぶよ!"
その日から、少女の目は光を受け入れた。
初めて見るたくさんの色とりどりな世界に感動した少女は、とある出会いがきっかけで絵を描く道を歩む決意をする。
「わたしは……わたしが見る世界をたった1日さえも……」
夏休みの果てに迎える花火大会で、少年は何を思うのか。
花火大会の最中、少女が描いた夢のカタチとは。
かくして少年たちは巡り会う─。
セミが鳴く、暑い夏。
ただただ積み重なる平穏な日常の中、彼らはココロのままに生きていく。
頭はそんなに良くない、
周りはあんまり見えていない、
運命なんて言葉はまだ知らない、
役割なんてなにもない、
だからこそ、ぼくたちは何にだって成ることができる。
これは、そんな目付きの悪い少年と真っ白な絵描き少女視点で描かれる、"変わらない約束の物語"――。
第一章
「すっごいキレイな、ヒューどっかーん!」
――美しすぎる花火は少女に夢を見せ、少年を絶望させる。
日常 青春 ヒーロー 現代 小学生 ノスタルジック ほのぼの 絵本 アルビノ ハートフル 現代ファンタジー ローファンタジー ヒューマンドラマ
読了時間:約313分(156,217文字)