「これは、あなたのものですか」
中腰の状態で誰かに声をかけられ、ハンジが見上げる形で声の主のほうへ視線を向けると、ややつり気味の大きなガーネットの瞳が彼をじっと見つめていた。これが、女性騎士ハナミとハンジの出会いである。
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「ハナミさーんおはよーございまーす!」
大きな声で自分を呼ぶ声にハナミは思わず眉根を寄せた。ここ1か月、ほぼ毎日のように聞く男の声だ。朝の鍛錬をしていたハナミに向かって走り寄ってくる男は名をハンジといった。
「…物好きな人だわ」
はぁ、と一瞬動きを止めてため息を吐いたハナミは、すぐに素振りに戻った。
※どんかん女騎士と片思い男文官のおはなし。
※ふんわり設定注意