近未来、台頭しはじめた極端な保守主義が先進諸国を内向きな経済政策に走らせ、世界経済は極限まで縮小した。これに端を発した世界規模の不況は、その後、考えられないほどに深刻度を増していく。それは、アジアの某新興大国に環境問題を発端とした内乱が勃発し、経済成長がマイナスに陥ってしまったからだ。他の新興国も同じような状況となり、世界中がかつて経験したことのない恐慌へと突入する。
日本もその影響を受け、経済的な理由で、黒孩子と呼ばれる無籍の子供達が次々と生まれてしまう。
アジアの某新興大国の内乱勃発から十数年後、人類は常温固体核融合技術の実用化に成功し、その経済効果により恐慌は終息する。
ある日、喫茶店で働くかつて黒孩子であった少女が、不毛な日々を送ることに疲れ切っていたエリートサラリーマンの青年と出会う。
少女は出会いを重ねていくうちに青年に淡い思いを抱き始め、青年は少女という存在そのものの中に、殺伐とした日常への束の間の安らぎを見出していく。
作品情報
ヒューマンドラマ[文芸]
残酷な描写あり
最終更新日:2018年05月16日
身分差 悲恋 日常 近未来 群像劇
読了時間:約250分(124,789文字)