「はい、あなたは死にました。オツカレサマデシタ。」
「は?」
突如目の前に現れた女に言われた言葉に、輪堂 牧志(りんどう まきし)は驚きを隠せなかった。
「あなたは死にました。スルメを喉に詰まらせて。」
桔梗のような紫の長髪を揺らし、女は繰り返す。
「さっき酒のつまみに食ってたけど……え?マジで?スルメで死んだの俺?」
「はい。剣先はよく噛まないと死にます。」
「で、あんたは……スルメの精霊?」
マキシの言葉に、女は口を尖らせる。
「あんな生臭い女と一緒にしないでください。私は転生の女神、ウヌズヴェッテナ。」
「ほう。じゃあ俺転生できるの?」
「はい。近頃流行りの異世界転生というやつです。」
「おお!やった!」
「ただ。」
「ただ?」
「本来やるべきでない場所でこの話をしてしまってるので、だいぶ制約があります。」
「俺になんの落ち度もないのに?チートはなしとかそういうやつ?」
雲行きが怪しくなってきた。嫌な予感がする。
「こういうのって、転生したあとの世界からしたらどうでもいいわけじゃないですか、言うなればアダルティなビデオのインタビューシーンみたいな。」
「導入は大事だよ!?」
「飛ばせるようにしたほうが良くないですか?」
「誰にとって!?」
「さあ?……あ、チートはありますよ。まあ……行けばわかります。えーい☆」
「うわっ?」
突如足元の地面がなくなり、マキシは落ちて行く。
「楽しんできてくださいねー☆」
「この……クソ女神いいいいいい!」
マキシは叫ぶ。が、強い衝撃を背中に感じ、意識を失った。