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短編
あの日、私の目の前に飛び散った赤を忘れることなんて出来ない。 大切で大好きだったアナタが傷つき、倒れた姿を見た私の中に生まれたのは恐怖だった。 強いアナタだって、死ぬことがあることをその時になって、ようやく思い至った。 もし、その原因が私であったら、正気でいられるだろうか。 ーーーだから、逃げたのに。 「ずっと傍にいるって言っただろう?約束を違えるな⋯⋯」 珍しく弱った声に思わず、いつものように背の高い彼の頭を撫でた。 こんなことが癖になるほど、ずっと一緒だったなぁとボンヤリと思う。 そんな私の手をとったアナタは言った。 「責任をとって、俺と結婚してくれ」 懇願するように手の甲に落とされたキス。 この胸の高鳴りをアナタは分かっている? 「お前は目を離すとすぐに死にかけるからな。俺が守ってやりたいし、幸せにしたいんだ。⋯⋯なぁ、いいだろ?」 そう言って、目を細めて笑ったアナタの手を振り解くなんて、私には出来なかった。 ーーーだって、私はアナタが好きだから。
作品情報
異世界[恋愛] R15残酷な描写あり
最終更新日:2023年02月23日
冒険 シリアス 女主人公 チート 魔法 ハッピーエンド アイリスIF2大賞 勇者 魔王 読了時間:約26分(12,676文字)