作品一覧全2件
連載 完結済 10エピソード
どうしようもないことってあるよね。 戦争は無くならない。例えAがBを潰してもAが分裂してBが生じるのだから。 死んだ人だって返ってこない。死んでしまったのだから当然でしょう? 死は全てを奪う。その人の選択肢、記憶、未来。そして、周囲の人がその人と関わる権利。そんな当たり前が永劫に奪われてしまう。 そして、一度起こったことは絶対に変わらないんだ。愛する人が死んだ事実は変らない。奴らに殺されたという事実は絶対に変わらないんだ。 ……だからね、大好きな親友がいるという曖昧な現実は私を慰めてはくれないんだよ。それは明日にでも奪われるかもしれない。例え戦争が終わっても、また次の戦争が始まるのだから。 旅行先で偶然テロに遭うかもしれない。奴らに襲われるかもしれない。眠っている間に居住区が攻撃されるかもしれない。 いつかは奪われて、殺されて、死体だけが事実として残る。そんな風に思っちゃうから、ふわふわな幸せは苦しいんだ。二人で誰もいない場所に行かない限り幸せなんて感じられないの。 だから、奪うことでしか自分を慰められない。憎いあいつらから奪って、壊して、殺して。仇かもしれない人間を殺し尽くす。憎い奴の家族が私と同じ気持ちを味わっていると思えば、少しは胸のうちが晴れるかもしれない。 目の前に死体の山を築いて、そうやって1つずつ事実を積み重ねないと満足できないの。 最低だよね。 ……でも、私を最低にしたのはあいつらだから。 私は私を肯定するしかないんだ。
作品情報
宇宙[SF] ガールズラブ
最終更新日:2025年06月18日
ネトコン13 ロボット 近未来 アクション 百合 宇宙戦争 戦争 完結済 読了時間:約231分(115,406文字)
連載 21エピソード
極秘研究所———小惑星基地『ラー』 時は2250年12月17日。海戦から11ヶ月が経ち、とうとうホルス国以外の全てのスペースコロニーが地球へと降伏した。 そんな絶望的な状況で、産声を上げようとするモノがいる。 絶望の渦中、産声に縋る者がいる。 そして、与えられる者がいる。 それは救済を齎すのか、破滅を齎すのか———その、どちらもなのか。 万物は産まれ落ちて初めて始まる。しかし、それならば生の反対である死は終わりを示すのか? 否。死して初めて ”亡霊” は生まれるのである。 地球を箱庭にした人類は夜の闇など忘れかけていたが、宇宙に上がったことで再び闇を知った。夜の闇を照らしてくれる街灯は宇宙には存在しない。周囲に広がる無限の暗闇は、いつしか人々が亡霊を生み出したあの底なしの闇と同じなのだ。 だからこそ。言葉面が非科学的だと否定されようとも、人々は宇宙にいる限り心のどこかで恐れている。暗闇から現れ、自分を闇へと引き摺り込む亡霊の存在を。 これは彼らが産まれ落ち、亡霊として堕ちるまでの短い物語。
作品情報
宇宙[SF] ガールズラブ
最終更新日:2025年06月12日
集英社小説大賞6 女主人公 ロボット 近未来 宇宙戦争 百合 アクション 読了時間:約273分(136,302文字)