――世界は、海と陸とで出来ている。
魔法は決して一般的ではなく、貴族など特権階級の「道楽」として捉えられている。
勢力図としては大きく、陸と海を二分して、
「ヒューマン」と「マーマン」とで争っている。
地続きしておらず歩いてはいけない場所、
海が途切れていて泳ぎのみではいけない場所がある。
マーマンの居ない海はもちろんあるし、
ヒューマンが居ない陸もある。
海から海を渡るために、マーマンが頻繁に行き来する陸があれば、
陸から陸へ移動するために、よくヒューマンが渡る海もある。
お互いに干渉せずにはいられない。
いつしか、両者が敵対するのは必然であった。
今も世界のどこかで小競り合いは決して無くならず、
しかし、本気でぶつかり合ったら互いを滅ぼし尽くしてしまうような。
避けられない干渉がある中で、
いつしか世界にラインを引いて牽制し合い、長い長い年月、敵対し続けている。
これは、そんな世界で語られる物語。