それは、ある晴れた日のことだった。
穏やかな日差しが教室の中へと差し込まれている中、少女は生まれた。
生まれた、というのには少しだけ誤りがあるのかもしれないが。
けれども、一人の少女からもう一人の少女が生まれた。と、そう説明する以外に良い表現は無かった。
「ねえ、これでもう分かったでしょう?」
「……何が?」
「あなたは私の中から〝出てはいけない〟ってこと」
「……そうね。でも、一つだけ、……いいかな?」
冷たい風が彼女たちの声を塞いだ。
「———私の——は、どこにあるの?」
そう、涙ぐむ少女は言った。
「〝ここ〟よ。ここならもう、誰も居ることが出来ないはずだよ。あなたならもう、分かっているでしょう?」
そう言って少女は、その場所をぽんっと叩いた。何もなかったその空白は、そうして埋められた。
こうして二人は幸せになった———
のだろうか。一人の少女たちはどうしてこんな結末を迎えたのだろうか。