※タイトルは完全にパクりました。
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一年前、俺の住む耀輝市は何者かによるバイオテロに見舞われた。街中に撒かれた未知のウイルスは、生物に感染すると脳の一部を破壊し、未感染の生物を無差別に襲う怪物を作り出す恐ろしいものだった。
耀輝市は山々に囲まれた盆地で、山を抜けるための一般道は東西南北に一本ずつ。そして東方面への高速道路が一本ある。脱出口であるそれらの道はまるで今回のテロを予見していたかのように一瞬にして国により封鎖され、耀輝市は完全に隔離されてしまった。
人々は混乱し、ただただ怪物に襲われ、殺され、喰われ、たった半日で街は完全に崩壊した。
そんな状況下でも集団を形成し、山を越えようとする勇敢な人々もいたが、その目的が達成されることはなかった。しばらくして帰ってきたのはたった一人。
その人物が言うには、山を越えたはいいが、その先には軍隊が配備されていて、俺達を見つけるやいなや容赦なく射殺してきたらしい。自分以外は全員殺され命からがらまた山を越え、戻ってきたという──。