2050年、日本の企業が「物の情報の可視化」することができるオーグメンティッド・リアリティ・コンタクトレンズ(ARCL)を開発した。
その後3年間でARCLは急速に普及し、総人類の約半数が使用するようになった。
開発成功の当初は全ての情報を持っている媒体が存在し、その媒体を通じて全てのARCLに情報が送られていたが、改良されたことにより個々のARCLが独立し、情報の交換を行う事ができるようになった(管理媒体は存在する)。例えば、自機器が持っていない情報を持った他機器と向かい合う(目を合わせる)ことで他機器から新しい情報が送られるという事ができる。
生活に便利を極めた。
ARCLの主な機能は、見た物が「いつ」「どこで」「誰が」「どのように」作ったのかがわかること。または、ナビゲーションのように目的地への道筋が表示されることである。
ただ、もう一つの機能に問題があった。それは「人の情報」を見ることが出来る機能だ。
その人が嘘をついているかついていないかはもちろんのことだが、特定個人をみた他機器のARCLにはその人の行動記録が残っているので、整理をすればその人間の全てがわかる。
そこで、改良され、情報の意図的ブロックも可能となった。
これが2055年の出来事だ。
そして2058年、G20を始めとする多くの国がARCLの着用を16歳以上に義務するとした。
この話はその10年後の話。
近未来 サイバーパンク シリアス 男主人公 未来
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