平凡な男子大学生、日下陽翔が召喚された世界は、第三次人魔大戦で人間が敗北し、魔族が完全統治する世界だった。
人間は生まれながらにして身分が定められ、最下層は魔族の食料として出荷される。
支配の歴史から300年。人はそんな世界に疑問を抱く感性すら失っていた。
かつて人々にスキルや魔法の力を与え、魔族と戦う力を与えていた女神は、今や邪神とさげすまれた。
陽翔はそんな女神の祝福を受け、異世界より召喚された。
与えられた使命は、すべての魔族を殺すこと。
しかし、人間を支配してから300年、魔族は着実に文明を発展させていた。
陽翔の力は文明と対峙するにはあまりに弱かった。とはいえ、一個体の存在の力としてはあまりに強すぎた。
東暦825年――有史以来初の魔族同士の世界大戦の機運が高まる今、あらゆる勢力は陽翔を欲した。