男子高校生、浅桜幸臣はとある休日に友人と東京へ旅行に行く。上野、浅草、スカイツリーなど様々な場所を巡って、一行は一日を満喫した。
夕方になり、帰ろうという話になった彼らは、駅へ向かう道すがら蚤の市が開かれているところに通りがかった。どうせならと見て回る中で、幸臣は奇抜な見た目に惹かれ一体のアンティークベアを購入する。
家への帰路につき、部屋で荷物を広げる幸臣。お菓子やキーホルダーなどの土産物を傍にどけ、蚤の市で買った人形を飾って……その時までは確かに少し古いだけの人形だと感じていた。
居間にあり人形の入っていた袋を捨てようとしたときに、幸臣は袋の中に奇妙な石がひとつ転がっていることに気がついた。
石は、その内側にかすかな光を孕んでいる。
幸臣がそれに気づいた瞬間、狙い澄ましたかのように部屋の明かりが消えた。
月明かりだけが照らす部屋。暗がりの中に幸臣は奇妙なものを見る。
暗がりより、なお黒い影──ソレは、幸臣の買ったアンティークベアから伸びていた。四肢を歪に動かし、這うように動く身体を突き破るようにして。
「……ッ!!?」
部屋を飛び出た幸臣は衝動に任せて走り、そのまま外の夜闇へ逃げこんだ。
手の中で明滅を繰り返し、輝きを増してゆく石に気付かぬままに。
幸臣を救う男、ウィンドウに記された【ワールドシナリオ】の意味、突如として出現した大樹の光。
それは幸臣を、そして、人類を予想だにしなかった災禍の糸に絡め取ってゆく──。
作品情報
ローファンタジー[ファンタジー]
R15残酷な描写あり
最終更新日:2025年04月28日
男主人公 日常 ダンジョン ご都合主義 スキル テイム おじいちゃん 微BL ヒロインは不在
読了時間:約215分(107,356文字)