犯罪を生業としているガレン傭兵団ボスであるガレン=バレフは普段よりも一段と好条件な依頼を受けることとなっていた。
裏社会のフィクサーとも称されるゲルシー公爵からの依頼。その内容は王国騎士レイラ=ハシュテッドの暗殺であった。
たった一人の女騎士を暗殺するという簡単な仕事。しかし破格過ぎる報酬の提示を受け彼は一抹疑念を抱いていた。
「……にしてもレイラ=ハシュテッドねぇ。イシェル、この女についてなんか知ってたりするか?」
「いや、知らんっすわ」
「だよな。……まあ行ってくるわ」
「ほい。いってらー」
部下のイシェルと緊張感のない問答を終え、ガレンは疑念を解かぬままレイラ=ハシュテッドの暗殺へと動き出す。
それが彼自身の傭兵生活を一変させてしまう依頼になろうとは夢にも思わずに……。