ある所に、ロットバルトという名の悪魔がいた。悪魔の仕事は人間の魂を奪うこと。彼も人の魂を奪っては、悪魔の王に献上していた。彼はある日、黒鳥の化身の少女、オディールが森で彷徨っているところに出会う。オディールを娘として引き取ったロットバルトは、穏やかな時間を過ごし、心に抱えていた虚無感が消えていることに気付く。そのうち、人の魂を奪うことを忘れてしまう。これに激怒した悪魔の王は、ロットバルトに高潔な姫の魂を奪ってくるように命じる。姫の名はオデット。ロットバルトはあの手この手でオデットを誘惑するが、きっぱりと跳ね除けられてしまう。ロットバルトは、オデットに昼は白鳥になってしまう呪いをかける。それでも、姫は諦めない。なかなか魂を奪ってこないことに業を煮やした悪魔の王は恐るべき計画を実行に移す。それは、ロットバルトの娘オディールをも巻き込んでしまうものだった。悪魔の務めと娘への想いに引き裂かれたロットバルトが、最後にくだした決断とは? 心に空虚感を抱えた悪魔が少女を守り抜く物語。
※この小説はpixivに掲載しているものを修正したものです。童話「白鳥の湖」を題材にしたお話です。
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読了時間:約57分(28,022文字)