——目が覚めたら、推し(赤ん坊)でした。
何を言ってるかわからない?私もわからない。とりあえずゲームの世界だから突っ込まなかった王女の名前がめちゃめちゃキラキラネームだな、くらいしか。
喜びもつかの間、私は絶望に襲われる。
恋愛ゲームの主人公…ではなく、主人公のライバル役である王女に生まれ変わった三十路。
けれど、ライバル、といってもよく見るゲームの所謂悪役咬ませ犬ではなく、純粋な恋敵。…その斬新な位置付けは数多くのプレイヤーの心を掻っ攫った。
彼女の人気たるや、バッドエンドルートで王女さまとキャラがくっつくからという理由でバッドエンドが好まれたほど。
そんな彼女に生まれ変わったなら、人生最高じゃない?とお思いかもしれない。そう、彼女は才色兼備文武両道な好物件だ。
…ただひとつ、
(アッッッ私の推しって、死亡フラグ取っ替え引っ替えな、あの私の推し!?!?!?)
殆どのルートで王女が死ぬことを除けば。
攻略キャラのなか、誰か1人でも主人公とくっつけば我が身の保証はできないデスゲームに放り込まれた三十路独身女性が頑張るお話。
※この主人公は強かなため、鈍感でもゆるふわでもありません。対象に好かれる人物を演じる傾向にあります。