やぁ、元気かい?
まぁ、とりあえずおれの話を聞いてくれよ。
この物語は魔法の使える世界の話なんだ。
現実の話とはいえないな。かといって壮大な空想の話でもない。
恋愛の話ともいえないんだけど、まぁ、男女の話だから恋愛の話だと思ってよ。
おれ?
おれのことなんてどうでもいいだろ。そのうち物語に出てくるよ。
まぁ、おれのことは別にいいんだよ。それよりこの物語のこと気にしてくれよ。
これがなきゃ始まらないんだし。
この物語は世界を偽物だと言い張る女の物語だ。
自分も含めてこの世界は全て偽物だと女は言うんだ。たった1人の男を除いて。
偽物とは、本物ではない物、および、本物ではないという抽象概念のこと。似せてつくったもの。
人間の偽物は偽者(にせもの)と言う。
偽者とは、似せてつくったもの…
偽者がいるということは、本物もいる。
本物と偽者の違いとは。
君はなんだと思う?
「心がどこにあるか?」で決まる。なんてことも言う人もいる。
「全てが本物であり偽者なんて存在しない」なんて言う人もいる。
女はなにをもって自分を偽者だと言ったのか?
意味が分かんない?
まぁ、簡単に言えば、それを紐解く物語だよ。
あ〜、こんな風に簡単に言うとつまらなさそうだな。
でも、とりあえず聞いてよ。おれたちの物語を。
聞いて幸福感を得られる保証もないし、人生が豊かになるようなものじゃないよ。
ただ、1人でも知って欲しいんだよ。
時間があるときでいいから付き合ってくれよ。
長くなるかもしれないけどゆっくり伝えていくからさ。
拙い言葉と文章で申し訳ないけど、一生懸命に魂を削りながら作られたおれらの物語を見届けてやって下さい。
日常 青春 ミステリー サスペンス 魔法
読了時間:約76分(37,587文字)