絵を描くのが好きなアカネのもとに、ある日突然、一通の手紙が届く。
差出人は「コウタ」。見知らぬ名前。内容は、彼女がSNSに投稿した絵への感想だった。
手紙は毎週一度、届き続ける。そこにはいつも、絵に込めた想いや感情が不思議なほど的確に読み取られていた。
けれどこれは、文通ではない。アカネは返事を書かないし、コウタもそれを求めていない。
それでも、絵は少しずつ変わっていき、アカネもまた、自分の感情に気づき始める——
手紙は、ある日を境に届かなくなる。
けれど、見えないどこかに「その人」がいるような、そんな気配だけが、静かに残されていた。
これは、小さな変化の物語。