エジプト神話に登場するハヤブサの頭を持つ天空と太陽の神である「ホルス」に因んで命名された小惑星探査機ホルスは、小惑星「リュウグウ」の探査を終え地球にその採取物を届けると、再び宇宙の旅を続けるのだった。ところが、推進源イオンエンジンの故障により制御不能となったホルスは、自分に搭載されたAIコンピュータに無作為に抽出された千人の記憶提供者たちの思い出が詰まった「隼人(はやと)」という統合データを有しており、土星に接近したところで、その中からホルスの感情回路が選択した想い出が土星の輪に走馬灯のように浮かび上がって行ったのである。
本書ではアラビアンナイトに倣ってその千人の追憶の中からホルスに因んで「隼」にまつわる以下の6つの短編を収録している。
・競走馬プリンセスジャスミンに乗りGⅠレース優勝を果たす物語
・両足骨折した茉莉との二人三脚でのウインブルドン大会優勝の物語
・恋人 那津江との夏祭りの思い出を胸に特攻機「隼」で出陣する物語
・微音の愛に触れて幸せとは何かを知る冷徹な剣豪の無念の死に至る物語
・亡き母の伊織を弔うため帰郷する寝台特急「はやぶさ」で観た宇宙開拓旅の夢物語
・砂漠で迷い込んだ古代エジプトの王子が見つけたエデンの園の物語
青春 史実 時代小説 ミステリー 冒険 ラブコメ 近未来 人工知能 タイムマシン ネット小説大賞十 ESN大賞4 ロボット アラビアンナイト 短編集 宇宙
読了時間:約31分(15,323文字)