魔導王国ウィンデルセンでは、今まさに聖女召喚の儀式が執り行われていた。
世界には闇の霧が空を覆い、大地を魔物が跋扈している。それを祓えるのは異世界から喚び出された奇跡の技を持つ聖女だけだという。
魔法陣が輝き出し、空を貫かんばかりの光が溢れた--聖女召喚に成功したのだ。
しかし、光が収まり皆が目にしたそこには聖女の姿はなく--。
聖女召喚より十五年。聖女は未だに姿を現さない。
聖女召喚の儀式は本当に成功していたのか?
誰もが確信を得られぬまま、今も細々と聖女の捜索は続けられている。
そんな中、魔導王国ウィンデルセンの東の国境沿いにあるタンニ村でセトという少女が十六歳の誕生日を迎えていた。